伝えるという事
「……い、おい!くらこの餓鬼、さっさと起きやがれ!」 「んあぁ〜?」 現在の時刻はまさに草木も眠る丑三つ時。 良い子はとっくに夢の世界へ旅たっている時間に、天馬はなぜか起こされた。 喋りからして帝月ではない。第一彼は自分をわざわざ起こしたりはしない。初対面の時には自分が勝手に起きたのだった。 「……お〜……飛天……なんとか」 「夜叉王だ――――ッ!なんとかで片付けるなッッ!」 「そう、それそれ」 極度の眠気からなのか、それともこれが素なのかケラケラと臆もせず笑う天馬。 「ったくよ……」 あまりにも無防備な笑顔に、思わず痛くなった頭を抱える。 人間なんてものは、もっと退廃的だとおもったが。 ひょんな事で偶然人前に姿を晒してしまった時、その相手に視えるものは恐怖と嫌悪。 (いや、例外がいたな……) 「んで……何か用か〜?」 「おお、それだそれだ」 本件忘れて過去に浸りかけてしまった。 「便所なら階段下りてすぐ下だぞ」 「違うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」 こいつは一体俺を何だと思っているのか!? 一度その事について徹底的に追求しなければ、とまた目的からズレかけた。 「いいかぁ、お前は……もちっと頭を使えっての」 「あだッ!?」 ぴん、と自分が封じられている符が貼られている額を弾いた。 「頭…………?」 言われた事が解らなくて、首を捻り自分の頭をコンコンと叩いてみた。 やっぱり解らないか、とあまりつかない溜息をつき、補足した。 「今回の静流の時だってそうだ。お前はジュゴンの親子助ける為に、その掌に穴開けたな。 別に庇うことが悪いなんて言わねぇ。ただ、もっと賢く戦え。 自分傷つけて相手を護るなんざ猿でも出来るこった。 だから、まず自分を……って、何笑ってやがる!」 飛天は激昂した。 確かに天馬は笑っている。しかし、いつものように声に出して笑っている訳ではない。 ゆったりと、その年齢ではまだ芽生えるはずもない慈愛も見せて。 それがおぼろげな月の光に照らされ、まさに幻想的に目に映させた。 怒鳴ったのはそれを誤魔化す為で。 それでも天馬はその表情を変えなかった。 「心配してくれるんだな……ありがとな」 「あ、ありが……!?」 今まで礼を言われた経験が浅い飛天はあからさまに動揺した。 「ん〜、でも、オレは一度にたくさん物考えらねーし……勝手に手が伸びちまうって言うか……うん……」 瞼と首が下がって……それに気づいて慌てて上げて、また下がって。 「……目の前に、傷つけられそうなヤツが居たら、それ止めなきゃってだけ……」 「……解った」 何処か諦めたように言い、後ろに前にひっくり返そうになる天馬の身体を抱きとめる。 自分を抱える大きな腕に、幼い記憶でも蘇ったか嬉しそうに目を細めた。 「……お前が好きなようにやればいい。 ただな、お前は人間だ。斬られれば血が出る。血が沢山出たら死んじまう」 自然、抱いている腕に力が篭る。 ……こんなに小さい身体。致死量なんてあっという間なのだ。 最後に吐かれた言葉は祈りにも似ていた。 「……それだけは、忘れんな」 「………ん」 半分以上沈んだ意識で頷き、そのまま寝てしまった。 今は図らずとも、この子供に付随している身 よって視える視界はこの子供の世界 それが時折 赤の色に彩られる その色は今で自分の中で 残酷な死の宣告にしか過ぎないものが この子供の目を通してが原因か その色が告げるのは 鮮烈な生の証 あぁ、どうかこの色が この色が その意味を裏返さないように どうか…… 頼むからその強い意志で自分も護ってくれよ お前が死ぬと……悲しいよ |
て事で初飛天天馬〜。テメーら名前の漢字がダブってるぞこんちきしょー。
うぅむ……他サイト様(そーです月瀬様ですv)ですんばらしい飛天馬(略してみました)小説書くお方がいられるので自分は書くめぇ、とか思っていたのだが……書いちゃったv
爆と天馬の違いで、爆はまだ「こういう行動をとったら自分がどうなる」が解って「けどそれでもいい」と覚悟出来てるから、見てる側も「行って来い」って見守れるんだけど。
天馬は「どうにかしなきゃ」しか考えてないからな〜。見てる方ヒヤヒヤ!
本当は護りたいのに照れくさいから出来ない、ってのが飛天の可愛いところv……って護れよ!
しかしワタシの書く飛天……果てしなく犯罪者臭いのは何故?
あぁ、ちなみにこんなクソ真夜中に起こしたのは二人っきりで話したかったからですね。アハハ〜v