キミと火曜日、空の下
その漆黒は不思議な程空の青によく馴染んだ |
「うっちゃーん!メシ一緒に食おうぜ〜」 背後からタックルでもかけるかのように、肩に手を回す激。 「…………」 現郎は返事をしなかった。 しなくても勝手に相手が言うのだから。 「あっ、ゴメ〜ンv火曜日は爆くんと屋上でランチだったな〜v」 こりゃいけねぇ!と大げさにわざとらしさを全面に押し出した身振り手振り付きで言う。。 「……オメー、飽きねぇな……」 爆と火曜日に一緒に朝食を食べるのは何も昨日今日に始まったのではないのだ。 「いーじゃねぇの。からかわれるくらい。 ホラ、早く行かねぇと爆が待ってんぞ」 現郎は余程「テメーのせいで遅くなってんだろうが」と言ってやりたかったが、今は屋上へ行く事を優先させた。 屋上へと続く階段をもどかしげに一段抜かして上る。 約束の時間まではまだあるが、それでもかなり前から待ってる爆のためにもっと早く行って。 より長く爆に会いたい。 着いた。 音を立てないようゆっくり開けてみる。案の定、フェンスに身を乗り出して町並みを見る爆は、現郎の存在に気がつかない。 ここで後ろから忍び寄って目隠ししたらだろう、と浮かんでしまった幼稚な考えに苦笑を洩らす。 まさか自分がこんな事を思いついてしまうなんて。 まぁ、それも目の前の子供にだけだから、だが。 「爆」 爆はちょっとビックリして振り返った。 「現郎」 「危ねー姿勢してんじゃねーよ」 フェンスは爆より高い。 だから見下ろそうとするには少し攀じ登らなければならなかった。 フェンスの網に足を掛けただけでは何時落ちるかわかったものじゃない。 「……解った。だから降ろさなくてもいい!!」 自分でも危ない事をしている、という自覚はあるので素直に従おうとした。 のに、現郎は自分を抱きかかえて降ろそうとする。 「軽いな。もっとメシ食えよ」 じたばたする爆に構わず言う。 「それともっと背、伸ばせ。キスするとき俺が屈むかオメー抱き上げなきゃなんねーだろ?」 それも楽しいけど、と悪戯に笑い、悪戯にキスをする。 「さ、メシにしようぜ」 真っ赤になった爆は、ようやく地に足を着ける事を許された。 「……相変わらず少ない昼食だな……」 「んー?」 先ほど爆にもっとメシ食え、などと言った現郎だが、食べてる量は爆より少ない。 飲み物に、コンビニのおにぎりかサンドイッチ。それに+α。 「貴様の方こそもっと食べないと倒れるぞ。ほら、ウインナやる」 と、フォークにさして突き出す爆。 ……知っててやってんなら確信犯だな…… 心の中で呟いて、爆の手をもう少し引き寄せパク、と食べた。 それから2,3個爆からおかずを貰う。 ……実はこれが楽しみでわざと少ない量なのであるとバラしたら、どんな反応が返ってくるだろうか。 じかし実際自分には食欲が無いのは確か。 食欲が無いというか、食べるという事に欲求が希薄なのだろう、と思う。 それは食べる事に関してだけではなかった。 金銭欲や物欲……自分の事にすら無関心。 それを今は「だった」と過去形に出来る。 そっすなったのも、やはり…… 「……いー天気だなぁ……」 ぽつん、といきなり現郎は言った。 本当に雲一つ無い晴天でもあった。 「五時間目ここで一緒に昼寝でもすっか?」 「ばーか。もうすぐチャイム鳴るぞ」 呆れたように爆は返す。 現郎の本音がもっと一緒に居たいのだという事を解った上で。 だから現郎は爆が好きだ。 「爆」 立ち上がった爆の手を掴み、ちょっと前かがみにさせて。 「ここ、ついてんぞ」 口唇の直ぐ横に付いていたパン屑をペロリ。 「…………!!」 「ゴチソーサマ」 と言って現郎は自分の出したゴミを集める。 上の台詞の意味の正しくを知っているのは本人と、またしても真っ赤になってしまった、爆だけ。 下から見上げても、現郎はやっぱりこの黒は空の青によく映えると思った |
そんな訳で現爆の学園リクです。勉強シーンが出てこないのが自分だと思います。
つーか授業シーンなんて、寝てるよ現郎……さもなくば爆の事考えてるとか。
それでも教師とかに「この問いは!?」とか訊かれるとあっさり答えちゃうのv
ってなにを妄想膨らましてるんだか。
では松葉様、お受け取りくださいましvv