demand....
誰を好きになっていいとか どうやって愛せばいいとか そんなのはうんざりなんだ。 一通りチャンネルを回し終えて、爆はとてもつまらなさそうにリモコンをテーブルに置く。 実際につまらないのだ。 「面白い番組やってない」 「この時期は特番が多いからな」 と、言う現郎はすでに見切りをつけたのか、壁に凭れて本を熟読する。 側にソファがあるのに、本人は床に座っている方が落ち着くのだそうだ。 時間はとても中途半端だった。 寝るには早いし、かと言って外へ出るには遅い。 ある意味、自分に違法行為をしでかしている現郎だが、そういう事には厳しかった。 「……………」 爆はころん、と横になって天井と明かりを意味なく眺めていた。 やおら、むくりと起き上がり、現郎の前へ赴く。 そこでまたぺたんと座り、現郎が読んでいる本をひょいと取り上げた。 「現郎」 爆は言う。 「やろう」 「ん」 現郎は短い返事をして、爆を抱き寄せた。 こいつを好きになって こんな風に愛して いけませんか? ペタペタペタ。 フローロングの廊下に、濡れたばかりの足音が響く。 ペタペタ…… カチャ。 冷凍庫からアイスのカップを取り出す。 小さい手に小さなスプーン。 ぶかぶかな上着だから余計に顕著に見える。上着だけだというのに、膝まで丈があった。 カップを嬉しそうに持って、先ほど現郎に組み敷かれていたソファに座って賞味する。 「おい」 半分がなくなろうという所で下衣しか付けていない現郎が登場。 「人が風呂掃除している間に何くつろいでやがる」 「オレが風呂に入る羽目になったのは、貴様が原因だろ」 「誘ったのはそっちじゃねーか。……ってまた俺の服着て」 「ぶかぶかの方が楽なんだ」 なんでもない事のように告げて、またアイスを頬張る。 ぬ、と現郎が顔を近づける。 「一口」 「……この前チョコミントは嫌いだと言ってなかったか?」 「オメーが食ってるの見てたら美味そうな気がしてきた」 我がままだな、とそれでも自分の一口より多めに掬って現郎の口へ運ぶ。 味わうようにアイスの塊を舌の上で転がしていた現郎だが、その動きが止まった。 やおら爆を引き寄せ、口唇を重ねてまだ残っているアイスを爆へ移した。 こくんこくんと爆の細い喉が上下する。 「やっぱりあまり美味くなかった」 「アホか」 呆れたように言う。 現郎はソファの足元へ座った。 「また床に座る」 「いいだろ、別に……オメーまで下に来る事ねーじゃねぇか」 「何処で座ろうがオレの勝手だろ」 かつて言った事のあるセリフをそっくり返された。 現郎と呑気なやりとりをしていたため、アイスが溶け始めてしまった。爆は急いで口に運ぶ。 抱き寄せられ、膝の上に座らさせても。 現郎サイズの服では、襟元は爆の肩を曝け出してしまう。 後ろから爆の肌に顔を押しつけ、清潔な香りの中に爆の匂いを見つけてはうっとりと微笑む。 「……オメーを幸せにしたいんなら、こんな事しちゃいけないんだろうな……」 「うん?」 自分達は同じ性。 何より、相手は自分の大事な親友と大切な主の子。 愛するよりも護らなければ。 それよりも護るよるも愛したい。 「俺はオメーのことが好きだけど、幸せにするつもりはねぇみてぇ」 て事は好きなヤツと幸せにしたいヤツってのは別なんだな、新発見だ、と現郎は言った。 肩に乗せられた顎。 頬に髪が揺らいでくすぐったい。 「別にオレは貴様に幸福してもらいたくて、こうしている訳じゃない」 「だったらどうしてなんだ」 爆は少し考え、またアイスを一口頬張った。 「気持ちよくしてもらいたい……から?」 ちょっと首を捻って、小悪魔めいた笑みを浮かべる。 「……だったら、気持ちよくさせてやらなきゃな」 ぶかぶかの上着は肌との摩擦が少ないため、少しはだけさせただけですとんと落ちた。 「またやるのか?」 折角風呂に入ったのに。 「……アイス、溶けるな」 「また買ってやるから」 今度は俺も好きなのにしような。 現郎の唇は、まだちょっとチョコミントの味がした。 誰を好きになっていいとか どうやって愛せばいいとか そんなのはうんざりなんだ。 こいつを好きになって こんな風に愛して いけませんか? だったら俺は潔くこの世からさよならしてやる あいつを愛せない場所になんか 用はないんだ |
松葉様カウンタ表示記念リク、現爆でプラトニック・エロ!!
すんませぇぇぇぇぇん!!ちっともプラトニックにナッシング!!
裏一歩手前……というか単に裏の部分を省いただけのような。精進したいっす。
爆が食べるアイスって何故だがチョコミントしか思い浮かばなかったんだが。やっぱり青と黒の配色が。
現はシャーベット系が好きそうな予感☆(ところで巷にはビールのアイスがあるらしい……ワインも)
では松葉様、お引取り願います!!