”この星の ウィルスも少し 壊れ始めて
無機質な恋愛グラフも 上り始める”
運動会、文化祭と着実に行事をこなし、大きなイベントは残す所卒業式となった。
とは言え、あまり悲壮感も焦燥感も無いのは、やっぱりそのまま全員中学へ上がるからだろうな。
日常なんて同じでいいや。色々あったらめんどくせぇし。現状ですでに俺は色々めんどくせぇし。ナルトの事とか、ナルトの好きな人とか。
「あれ、まだナルト来てないの?」
その日、ナルトは学校を休んだ。
一緒に暮らしていた祖父さんが、亡くなったとのことで。
友達の祖父さんが亡くなった、て聞いた時、少なからず衝撃みたいなものを感じたのは、まだまだ俺がガキだからなのか、他にも理由があるからなのか。
それはさておき。
ナルトに会いたい。
天は自らを救る者を救うとか言うけど、授業中ずっと会いたいと念じた甲斐あってか、放課後、ナルトと遭遇した。
全くの道端で、会った事が奇跡みたいだった。
葬式は後日やるとの事だから、その時はまだ普段着で。
「よ」
「シカマル」
短く、今日初めての挨拶をすると、すぐ反応がした。
「買い物か?」
「そんな所」
へへ、と笑う顔はいつも通りなのにな。
今日の事について、何を言おうか、どう切り出そうか、考えていると、ナルトの方から言い出した。
「な、イルカ先生、今日どうだった?」
「え………」
「だーかーらー、元気だったとか疲れてたとか、あるだろ」
もー、頭の回転遅いなー、とか怒られる。
これは……どう言ったものか……
「……元気だった、てのは言いがたいな。お前の事があったから」
嘘は言えないから、事実を淡々と言ってみた。
「そっか」
そう言ったナルトは、申し訳無さそうでもあり。
嬉しそうでもあり。
それを見た途端、気づいた。
ばらばらで、勝手に散らばってたピースがきちんと並んだみたいだ。
「ナルト、お前」
「ん?」
「イルカ先生が好きなんだな」
「そうだってばよ?」
何言ってんだよ、ってケラケラ笑う。
「いや、そうじゃなくてだな」
あぁ、もどかしい。どうしてこの言葉は一個しかねぇんだ。
「好き、なんだな」
給食の時、残りのデザートを取りに行く時、誰に近寄るか。
キャンプの時、誰に会いに行ったか。
ナルトは、誰を好きだと言ったか。
全部、同じだ。
ナルトが返事をする。
「うん」
ナルトはイルカ先生が好き
いのやサクラが、サスケを好きだというのと同じ気持ちで
それ以上の想いで
<END>
|