Yellow Yellow Happy





 ”もしも生まれ変わっても また私に生まれたい
 この体とこの色で 生き抜いてきたんだから”




 俺の朝を報せるのは、時計じゃなくて、ラジオ。
 適当に合わせた音楽番組の、オープニング曲で起きる。
 朝のリクエスト曲を聞きながら、のそのそと着替える。
『次のリクエストは”味噌ラーメン大好きだってばよ”さんからのポケットビスケッツ「イエロー・イエロー・ハッピー」』
「………あぁ?」
 独り言は趣味じゃねぇけど、声に出ていた。




「おはよーさーん」
「おはよー」
 小学生生活も6年となると、教室で教師から隠れて菓子を食べるテクニックも身に着いてきたりする。朝飯を食い損ねたヤツが、あちこちで菓子パンを食べている。中には、しっかり食ってきてるのにまた食ってるヤツも居るが(チョージだよ、チョージ)。
 教室にはほぼ全員が揃っていた。まぁ、開始3分前なんだから当然だけども。
「はよー」
「おう!おはようだってばよ!」
 隣の席のナルトが1時間目の準備をしていた。普段、キバと悪戯しょっちゅうしてる癖に、こういう所は真面目なんだな。
 さて。
「なぁ」
「ん?」
「オマエ、朝のラジオに曲のリクエストしただろ」
「え」
 と一旦きょとんとし。
「……えぇええええぇぇぇえ!!?」
 徐々に驚愕していった。おもしれーなぁ。
「なッ!なん!!」
「何で解ったって?オマエなぁ、あんなペンネームじゃ誰だって解るぜ」
 味噌らーめんが好きな上に”だってばよ”。ある意味名前より解るんじゃねぇの。
「えー!じゃ、みんなにもバレバレ!?」
「いや、それはねぇんじゃねぇの。朝っぱらからラジオ聞くヤツなんてそう居ねぇし」
「じゃー、シカマルは何で知ってるってば?」
「目覚まし代わりなんだよ。あの番組でリクエストの2曲目が終わらないウチに部屋出ねぇと、遅刻する」
「………へー、賢い使い方だなぁ」
 そんなに真剣に関心されると、ちと照れるんだけど。いのには「アンタ変ってるわねー」で終わったし。
「でもまぁ、オマエ中途半端に古い歌リクエストしたよなぁ」
 懐メロにもならない程度の古さだ。
「いーじゃん好きなんだから!」
「ちょっとそこ!さっきから起立って言ってるでしょ!?」
「うわー、サクラちゃんごめん!!」
 どうやら、いつの間にか朝の会が始まっていたよーだ。
 そんな事に気づかないで、話にのめり込んでいたのか?俺は。
「あのさ」
 こそ、と朝の会中に、ナルトが言う。
「俺ってばまだCDプレーヤー持ってなくてさ。だからラジオ聴いてんの。
 でも、今年の誕生日には買ってもらえるんだってばよ!」
「へー、良かったな」
「うん!」
 笑顔で頷いた。




 もし
 あの日に
 俺がラジオを聴いていなかったり
 ナルトがリクエストをしていなかったり、選ばれなかったりしたら
 ナルトとは、「ただのクラスメイト」で終わってたんだろうか、と
 ふと、思ってみたりする




<END>





シカナルコでシリーズものが書きたいな、て思ってお題を探していたのですが結局自分で作ってます。
……なんじゃそらぁ!

あまり起承転結の起伏は激しくしないで、ゆっくりゆったりまったりした話にしたいな、と思ってるです。相手がシカだしね。
ナルコ設定なんですが、なんか設定した甲斐が無いというか……
次からはその意義が!出るといいナ!