*ニコルさんが女体化してる設定でお願いしますね☆てひ☆




「リーオン、」
 と、ふいに呼ばれた。呼んだ相手はウォルフィで、自分が向くと親指で背後を指差す。
 つまり、そういう事で。
 リーオンはいつもみたいにウォルフィの名前を呼んで駆け寄ったりせず、こっそりその場を抜け出た。
 今はクラブ活動という名の自由時間(というか遊び時間というか)。場所は勿論ディーノの家だ。自分達が住まわせてもらっている家で、だからあまり人の通りの少ない場所とかも知っている。
 例えば、此処とか。
 着くなり、リーオンはぼふりとウォルフィの鬣に埋もれる。ふかふかしてとても気持ちいいのだ。人前でこれをすると、離れろと頭をどつかれるのだが、2人きりならそうされないどころか、頭も撫でてくれる。それも気持ちよかった。
 でも、もっと気持ちよくなるのはこれからだ。
 手袋を外したウォルフィの手が、タンクトップの下に潜る。それは腰から背中、胸へ回り、たくし上げた布は胸に引っ掛け、すっかり露にされてしまった。
「んっ………」
 触られると、最初わき腹をそうされるようなくすぐったさが沸くが、すぐに別の感覚へと挿げ変わる。身体が熱くて、じんじんと疼く。それを解放される時、浮くような快感が得られるのを知っている。それが待ち遠しくもあり、今の状態がずっと続いて欲しいような気もある。そんな複雑な心境をさて置いて、身体はどんどん昂ぶっていった。熱は一層上がり、息があがる。
「っ、……ふ、ぁ……ん……」
「リーオン」
「ぅん、ん………」
 耳元で囁かれ、胸を弄る手に注がれていた視線をウォルフィの顔へと移す。それはすぐそこまで近づいていて、自分が顔を上げると同時にキスをした。
 形の違う口で、よく器用にキスが出来るなぁ、といっそリーオンはほれぼれしてしまう。気持ちいいという事は、上手という事だろう。もし逆の立場になったとして、その時相手に今の自分ほどのものを感じさせれる自信は無い。
 深い口付けをされながら、ウォルフィの手が下の方に移動していくのが解った。もっと直接的に快感を感じる場所に行くのだと思うと、それだけできゅぅ、と足の間が締まる。
 そして。
「あー!居た居た!体育委員と図書委員!!だめだろー!単独行動は!!」
 ずびー!と人差し指を突きつけ、シュウ登場。2人なんだから単独ではないというボケをかましながら。
「!!!!!!」
 心臓が口から飛び出るかというくらい、リーオンはビックリした。今までの甘美な刺激も一瞬で全部吹き飛ぶくらいに。
 なんで部長が居るの!?どうして来たの!?ってゆーかバレた!?えっちしてるのバレちゃったー!!?
 ぐるぐると思考と一緒に眼も回る。あうあう、とひらすらうろたえるリーオンに、ウォルフィはまず素早くたくし上げていた服の裾を戻し、
「おー、部長、丁度いい所に」
「???」
 いい所?いい所って何だよウーたん??
 完全にパニくっているリーオンは、その疑問を口にするのが遅れる。そして、
「ぬぇ?」
 ガッキ、とウォルフィの腕が自分の身体に掛かる。しかし、さっきされたのは程遠く。
 なんだ?と思っている間に足もかけられ、関節を決められていた。
「あだ!?イデ、イデデデデデデ---------!!!」
 その痛さにじたばた----したいのだが、がっちりホールドされてるので、それも敵わない。
「イタイイタイ!ウーたん痛いってばー!!!」
「これがコブラツイストな。名前くらい知ってるだろ」
「おおおおー!本当だ!すっげー!!」
 よく言えば素直、アレに言えば単純なシュウはあっさり関心して感動した。
「そーかー、居ないと思ったら、必殺技の練習してたのか」
「まぁな」
 シュウの勘違いに適当に合わせるウォルフィ。
「皆の側ですりゃいいんじゃねぇの?2人が居なくなって驚いたんだからな!」
 憤慨しています、とばかりにふんぞり返るシュウ。その頭を悪い悪い、とぽんぽん叩いて。
「こっそり抜け出たのは悪かったけどよ、皆の前でやると技掛けられてる方が無様じゃねーか。そんな姿見られなくないだろ?
 あ、俺らが此処で特訓してるっての、みんなにも内緒な。男と男の約束だぜ、部長」
「よし解った!オレは口が堅いから、任せとけ!」
 じゃ、頑張れよーと文字通り風のように去っていくシュウ。角を曲がって完全に見えなくなった時、ウォルフィがふぅ、と息を吐いた。
「あー驚いたなー。此処まで来るなんて。こりゃ違う所も探さないと……おい?」
 リーオンが無言でウォルフィの隣をすり抜けようとした。その腕を反射的に捕らえる。が。
「離せよ!皆の所に戻る!!」
「何ヘソ曲げてんの?お前」
 ウォルフィがそう言うと、リーオンは涙眼になった双眸でギ!と睨み、
「何すんだよ、さっき!本気で技掛けてきて!すっげー痛かったじゃねぇか!!」
「だって、ああして誤魔化す以外どうすりゃいいんだよ」
「誤魔化すならふりだけでいいじゃん!それなのに本気で力入れる事ないじゃんか!!」
「そーだけどよー……」
 そんなに怒らなくてもいいじゃねぇか、とウォルフィが言う隙間もなく、リーオンは言いまくる。
「それにオレがどんだけ痛いって言っても解いてくれないし!首の所とか、まだ痛いんだからな!」
「----何、そりゃ大変だ!ちょっと見せてみろよ!」
 急激に焦ったようなウォルフィに、リーオンは面食らう。確かに痛い事は痛いけど、いつもの事で、そんなに心配されるような事でないのに。
 そのまま腕を引かれ、胸に抱きとめられた時だった。ぎゅぅ、と抱き締められ、リーオンはようやくウォルフィの真意に気づく。
「騙した!?」
「こんなんに引っ掛かってんじゃねぇよ」
 ウォルフィは意地悪そうに笑う。リーオンが反抗する前に、続きに取り掛かった。まず、再び服をたくし上げ、胸を弄る。色づいた突起は普段より色が濃いようだった。さっき感じていたからだろう。
「ちょ……っ!嫌だって……!!」
 胸元にあるウォルフィの頭を離そうと、精一杯力を込めてみるが、びくともしなかった。そうして、リーオンが引き剥がそうと抵抗している最中、ウォルフィはあっさりズボンを足首まで下ろしてしまった。
「あ!」
 露になった下肢に、声を上げる。リーオンが何かをしようとする前に、ウォルフィは先手を取る事にする。身を屈め、熱い襞が重なっている箇所を指で割り開いた。ひ、と喉に引っ掛かった声が上からする。べろり、とわざと大きく舐め上げると、傍らの太腿が引き攣ったのが解った。
「ぁんっ!……は、ぁあッ!!」
 立ったままの、安定しない姿勢で快楽にダイレクトな刺激を与えられて、足はもうガクガクして来た。離す為にウォルフィの頭に置いた手は、何だか自分に押し付けているようにも見える。
「……ぃ……嫌だっ……やめ……」
 嬌声と荒い息に混じり、それでも拒絶の言葉を吐いた。
「ほー、この期に及んでまだ言うか」
 ふと口を離し、ウォルフィがにやりと笑って言う。てっきりもうここまで来たら、自分から腰を振ってくるとばかり思っていたのだが。
(ま。たまにはこういうのもいいんじゃね?)
 普段のリーオンは率先して自分に抱かれる。嫌がるのを従わせて、というのも面白味があっていいかもしれない。
「嫌だって……っ!ん、んぁ……!」
「本当に嫌なのか?お前。此処、こんなにびしょびしょにしといて」
「あぅ……ふ………」
「挿れてほしーって、泣いてるみてぇ……」
「っ……ッッ!」
 言われた拍子に、つつっと足に溢れたものが伝う。恥ずかしい事を言われ、それに感じている。
「な、リーオン」
 しゃがんていたのを立ち直し、耳元に鼻先を潜らすよう、囁いた。びくり、とリーオンが震える。
「このまま俺に犯されたら、すごい気持ちよくなれると思うけど……それでも、嫌だ?」
「ぅ……い、嫌………」
 横に振る頭も弱々しい。堕落寸前、と言った所か。ゲームで難しいダンジョンを攻略するみたいな感じだろうか?なんだかウォルフィはわくわくしてきた。
「そっかー、嫌かー」
 とまるで人事のように相槌を打ち、やおらリーオンの片足を上げ、濡れそぼっている其処に自身を擦り付けた。
「ひぁッ!?あぁッ!!」
「嫌そうな割には、今にもイっちゃいそうな顔だけどなー」
「やっ!やだッ!ん、ぁ、あん!あッ!!や、やめてよぉ……ッ!!」
 許しを請うような顔に、とてもそそられる。もっとこんな顔が見てみたい。
「気持ちよくてイっちゃいそうだから嫌だ、って言ったら止めてやる」
「っ、気持ちよくなんかっ……!!」
 気丈に睨むリーインに、ふぅん?と意地悪そうに笑みを浮かべるウォルフィ。
「そっか。じゃ、こんな事されてもイかないよな?」
 擦り付ける箇所を少し上にずらし、可愛らしくぷくりと勃っている粒に重点を置いた。一番敏感な部分を刺激され、食いしばる歯と一緒に閉じかけられていた目が見開く。
「そっ、そこっ、そこだめぇぇぇぇぇッッ!!」
 拒絶の言葉を吐きながら、身体はびくびくと反応して撓っていた。
「ぁひッ!あんッ!……ん、んぁあッ!あぁぁぁッッ!!」
 肩と言わず、身体全体がガクガクと震えている。いつもなら絶頂を迎えている所を、無理に押さえ込んでいるからだ。弾けさせてしまいたい。でも……
(……こんなのでイくなんて、絶対ヤだ!ヤなのにぃ……ッ!!)
「ぁっ……はぁッ!あぁっ、あー……ん……!」
「イく?イかないよなー。嫌な事されてイっちゃうなんて、やらしい過ぎるもんな」
「ふぅ、うぅ……うー!」
「な?リーオン、イかないよなー?」
「っ、……っ!!」
 かし、と気を紛らわすかのように、支える為についている手で壁を引っかいた。
 その仕種に、ウォルフィは眼を細め、言う。
「----イけよ」
「……ぁっ、ぁ………ああああぁぁぁぁッ-------!!!」
 囁かれた響きはいっそ残酷に思えた。相手の絶頂に合わせて吐いた言葉なのだが、一見するとウォルフィの一声でリーオンが達したかのように見える。
 溜め込んでいた分、飛沫を上げるくらいの勢いと量が溢れ出る。入り口を塞ぐようにウォルフィがあったが、あまり意味を成さないように殆ど零れてしまっていた。
「ぁ………あ、ふぁ………んっ」
「……おいおい、止まらねーじゃねぇか……」
「あ………ぁ………っ」
 リーオンが絶頂の大きな声を立ててから、やや時間は過ぎたがまだリーオンの中は引きつき、その度にこぷりと中から溢れさせていた。それがようやく治まった時、足の力も抜けてその場にずるずる落ちそうになるのを、ウォルフィが抱きとめる。
「何だ。やっぱり気持ちよかったんだろ?」
 くっく、と肩で笑い、頬や額にキスをする。不本意のまま達したリーオンは、放心したようにぼうっとしている。が、やがて意識が戻ってきたのか顔に表情が表れた。それは。
「……う、ぇ、う、ぅぅッッ……!!ぅあ-------ん!うわぁぁあぁあああああん!!!」
「ッッッッ!!!」
 至近距離で大声で泣かれ、一瞬耳がキーンとなった。おそらく、これまででリーオンがウォルフィにした攻撃の中でもっとも効率的で効果的なものだった。それはともかく。
「ばか----!!ウーたんのばか-----!!嫌って言ってるのになんでするんだよ------!!」
「おい、リーオン、声、声……!!」
 デカイぞ、と言っているのだが、本人は訊く耳を持っていなかった。
「どぉせオレの言う事なんてきいてくれないんだ!さっきだって、あんなに痛いって言ったのに解いてくれないし!本当にオレは痛かったのに!なんで言う事聞いてくれないんだよ-------!もぉ、やだ------!!」
 言いたい事は言い終えたのか、その後はわんわんと泣くだけだった。
「リーオンって。おいってば」
「ひっ、く……ふぇ……ぐすっ………」
 顔を覗きこんでみれば、悲痛そうな顔で涙をぼろぼろ流していた。泣かすのは好きだけど、泣かれるのは嫌だ。勝手な言い分かもしれないけど、それが本音だ。ぐずぐずと嗚咽を漏らす姿が痛ましく、それの原因が自分だと思うと申し訳なく思えた。
「……痛かったんだってばー……マジで痛かったのー……」
 あぅー、と泣きながら言う。
「そうだな、ごめんな。俺もとっさの事で加減できなかったんだよ」
「ぅー……ッ!!」
 涙を粗方拭ってやり、ぎゅ、と胸に埋め込むみたいに抱きこんだ。ふらついている足も抱き込み、その場に座り混む。拒絶されるかも、という一抹の不安はあったが、リーオンは背中に腕を回してきたのでそれは杞憂に終わった。
 髪を撫でたり、あやすように背中を叩いたり。そんな他愛ない事をしていたら、やおらリーオンが身を起こす。完全にとは言い難いが、泣きやんだようだ。すん、と鼻を鳴らし、目元は赤い。さんざん泣いたせいか、体温が少し上がっているようだった。
「落ち着いたか?」
「う、うん……」
 窺うように問いかけるウォルフィに、リーオンは何故か歯切れ悪く返事する。
「……ウーたんごめんね」
 そして、謝られた。ウォルフィは頭を傾げる。
「何でオレ、あんなに怒ってたんだろ。……なんか、自分で訳解んない……」
 自分にプロレス技をかけたのは誤魔化す為だと解っている筈なのに、あの時はそれをしたウォルフィがどうしても許せなかった。だからごめんね、と言う。それに、ウォルフィは苦笑してデコピンを食らわせた。
「ばーか。今のは完全に俺が悪いんだよ」
「……そうなの?」
「そうだよ」
 あそこまでリーオンの泣かせた原因は、やっぱり自分のフォローが足りないせいだ。思いっきり技を決めてしまった事をろくに謝りもしなかったし、ただえさえ見られたかもしれないとパニックになっている相手に、そのまま押し倒していい筈がないのだ。安心して、抱かれるように環境を整えてやらないと。普段はリーオンも乗り気なので、その必要は殆ど皆無と言っていい程だったのですっかり失念していたのだが。
「ウーたん、」
 などとつらつらと考えていたら、リーオンから声が掛かる。やはり目には水の膜が張っているが、先ほどとは意味を違うくしているようだった。
「続き、いい?」
 いいも何も、自分から切り出そうと思っていた所だ。いいに決まってんだろ、と返す。それにリーオンはぱっと顔を輝かせた。自分が断るとでも思っていたのだろうか。全く。
 許しを貰えたリーオンは(ウォルフィにとっては許すも何もないのだが)、まず胸元にばふっと顔を埋めるように抱きつき、鼻先で胸の鬣を探るようにして上にのぼる。そうして、口付けた。
「ん……ん、」
 何せ口の形容が全く違うので、唇同士を重ねる事は難しい。その代わりとでもいうのか、舌を絡ませあう。遠慮も羞恥も無しに、激しく。リーオンの口の中にウォルフィの舌は大きすぎて収まらないが、それでもと口を広げ、なるべく全部を愛撫しようとしているのが解る。唾液が顎から滴り、リーオンの胸元に落ちる頃、ひとまず其処で終える。
「っぷは、……はぁ……っ」
 口の中一杯だったリーオンは、舌が離れると同時に空気を呷った。肩で息をする。口の端から零れている唾液は、手袋を外したウォルフィの手が拭った。その感触だけで、リーオンがぶるりと震えた。
「……も、いきなり挿れてもいーよ。中、ぐちゅぐちゅだし……」
 内部には入れないで、触れているだけでもそこはとろとろと熱いものが溢れてきている。自分で触れて、確かめた。
「そーだな……」
 リーオンの言うとおり、もう入れても平気だろう。自分の上に来るように、リーオンを抱き寄せる。この姿勢でもなくても出来るが、リーオンがこうするのが1番好きだからだ。理由は自分に抱きつき易いからだと言う。たまに、嫌嫌言いながら達するリーオンが見たくて、意地悪で後ろから攻めたりもするが。
「ん………」
 位置を直して、あとは入るだけ、という所まで来た時、リーオンが予感に蕩けた顔を見せた。それは妖艶と言ってもいい。十分中が解れているとは言え、やはり最初はゆっくりをと埋め込む。
「んぁっ!あ、あ、ぁ……あぁっん……!」
「……平気か?」
「う、うんっ……!あッ-------ッッ!!」
 ウォルフィのセリフに頷いた後、ずるんと一気に全部が入る。その拍子に、腹部にまで届いたような衝撃に、少し息を詰らせた。
「ふ、ぅ……ん……ぁは、ウーたんのいっぱい………」
 とろんとした口調と眼でそう言ってくれるのだから、至近距離のウォルフィは堪ったものじゃなかった。がっつくのはみっともないのに、そうしたくなる。
「動くぞ」
「ぅん……」
 顎の裏を悪戯するように指でくすぐり、リーオンの腰を掴んで上下に揺さぶった。その動きに合わせて、仔犬が甘えるような嬌声が零れる。
「ひゃはぅ……っ!ん、あぅ……イイ、よぅ……!!」
「気持ちいいか?」
「ぁっ、ん……うん、気持ちいい……っ、あーっ……!」
 感じる箇所を突いたのか、感じ入ったようにリーオンが仰け反った。
「あッ!だ、めっ……!イっちゃぅぅ……!」
 そのセリフの通りに、締め付けている粘膜がきゅぅ、と締め付けに来た。ウォルフィの息も詰る。
「はぁっ!あぁッ!んッ……ん、んんッ!」
「……っ、ぁ、俺も、イくかな……?」
 ぎゅ、を歯を食い縛ってみるが、解放に向かう動きは止まりそうがなかった。
「ふぅあっ……!あ、くぅ、んっ、ん-------!!」
 何度も抱いているせいか、相手の具合も段々と解るようになってきた。あと、一息でイく。感じる所を掠るように、最奥まで尽きれた。
「んぁッ!ああぁぁぁぁ--------ッッ!!」
「っ------ッ!!」
 きゅう、とキツく締め付ける内部から、自身を引き抜き、堪った熱はリーオンの身体に掛かった。

「なんで中で出してくれなかったの」
 タオルで拭われながら、リーオンは不服そうに、というか物足りなさそうに言う。
「だってまだ皆は居るんだぜ。俺のが中にあって平気で居られるのかよ」
「ぅー……」
 ぺんっ、と鼻を弾かれ、リーオンは唸るように黙る。
「だから、夜にな」
「……うん!」
 すぐに綻んでみせたリーオンに、現金なヤツ、とウォルフィは笑う。
「さて。それじゃ戻りますか。立てるか?」
「うん、大丈夫ー」
 立ち上がり、さすがに最初はちょっとふらついたみたいだが、結構しっかりはしている。確かに大丈夫そうだ。
「じゃ、俺こっちから行くわ」
 最短距離はリーオンに譲り、ウォルフィは遠回りに元の場所へと戻る。一緒に戻ってもいいのだが、嘘の下手なリーオンである。2人で何をしてたんだ、と言われて平然としていられる訳がないのだ。
 そんな訳で、ぐるっと迂回するように戻れば、すでにリーオンが居た。ちょっとだけ、眼を合わせる。それから皆の輪に混ざろうとした時。
「あれっ、図書委員、体育委員と一緒じゃねーのかよ」
 と、側に来たシュウが言った。
 そういえば、とウォルフィはしみじみ思い返していた。技の練習してるのを(嘘だけど)秘密にしてくれとはいったけど、2人一緒に居るのを言っちゃだめだよまでは言って無かったなぁ、と。いやそんな呑気な事思ってる場合ではなくて。
「どうしたバラバラで帰ってきてー。喧嘩でもしたのか?いかんなー、仲良くしなきゃ」
 いや、物凄い仲の良い事してたんだ、部長。なんていえるわけも無く。
「い、いやちょっと色々と……」
「おい部長!」
 と助け舟のようにシュウを呼んだのはグリードーだった。
「旗はこれでいいのか?」
「あー、うん!上出来上出来!やりゃぁ出来るじゃん会計委員!!次からも頼むな!」
「馬鹿。今回だけだ、今回だけ」
 シュウの気は無事他のにそれたようだ。助かった、グリードーとウォルフィは視線で感謝した。それにグリードーは、やっぱり視線で、せめて活動中は控えとけよ、と送った。やはりバレていた。それには苦笑するしかない。
「ウーたんv」
 と、今度はリーオンがやって来た。こうなる前から自分の側に居たおかげで、寄って来ても誰も気にはとめない。そうして、リーオンは当たり前みたいに自分の横に座った。それから、まるで久しぶりに会ったかみたいに、幸せを噛み締めているような笑顔を浮かべる。
 そういう表情をされると、どうも。自重しようと思った側から体全部を愛してやりたくなる。
 堪え切れなかった分は、周囲の目を盗んでキスをする事で解消させた。



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