デートをしよう!




 何故、気づいてしまったのか。
 気づいてしまえば、もう無視は出来ない。
 爆は、早速行動に移した。




 何やら、思いつめたような顔立ちで爆が自分に詰め寄ってきた。
 一体、何だろう。
「……カイ」
「はい」
 心持低い声に、少なくとも上機嫌ではないようだ。
 では、不機嫌なのか?一体何が原因で………
 は。まさかこの前の(年齢制限の必要のある内容の為削除)のせいだろうか、はたまた(年齢制限の必要のある内容の為削除)が、いけなかったんだろうか。それとも、(年齢制限の必要のある内容の為削除)は、爆殿もちゃんと………
「おい、聞いてるか?」
「はい」
 思考を甘美なひと時の記憶に飛ばしていたカイである。
 そして、爆は言った。
「今度の休み、デートするぞ。……いいか?」
「……えぇ、勿論!!!!」
 理解するまで時間がちょっと掛かったが、そこはカイだ。
 何でいきなりそんな事を?と疑問に持つ前に、力強く頷いていた。
「デートだぞ」
「はい」
 カイの頭の中は、もうその日の事で一杯だ。何処に行こうか、何をしようか。
 まぁ、最後は自分の部屋なんだが。其処で何すんの、とは愚問もいい所だ。
「……デートだからな」
「はい、楽しみですね」
「…………えっちな事は、せんぞ」
「はい。……………えぇぇえええええええええ!!!?」
 カイの絶叫が、空に響く。そこまで声を出すか。
「な、な、な、何で!どーしてですか!私、何か至らない事でもしましたか?」
 デッドが居たら、しました、と簡潔かつ明瞭に言ってくれるだろう。
「そうじゃない……とも、言い切れない………」
「どっちなんですか」
「----だって!」
 爆は顔を真っ赤にして言った。
「デートとかするより、した方の回数が多いだなんて、なんていうか、なんていうか…………!!!」
 上手くいい例えが浮かばなくて、そのまま黙って顔を沸騰させてしまった爆。
 ……確かに。
 デートの最後は必ずしてるし、ていうかむしろしなくてもしてるし。
 ……ちょっと即物的に走りすぎたかなーと、ちょこっと反省するカイだ。爆は、そういう精神的なステップアップを必要としいるので、尚更。
 だもんで。
「はい、いいですよ。デートしましょう?」
「……本当に、しないからな」
 決意は固い、と薄っすら涙を浮かべて爆は言った。
 反省した傍から、さっそくしたくなるよーな表情である。(カイ視点)
「で、何処か行きたい所でも?」
「……映画見る。で、近くの水族館にも行く。待ち合わせは、公園にするぞ」
「はい、いいですよ」
 うーん、可愛らしい内容だ。実に初々しい、とカイはほんわかしている。
「じゃ、約束しますか」
 と、言って。
 カイはちゅっと軽い音を立てて、唇にキスをした。




「------で」
 ハヤテが、ようやく区切りがついたらしいカイの話にようやく意見が言える。
「お前は爆と、そんな可愛いデートをしたんだな?」
「えぇ、もう、イルカショーではしゃぐ爆の可愛らしさと言ったら」
 ふーん、とお土産にくれたクッキーをバリボリとそのセリフと一緒に噛み砕く。
「だったら。お前の、その頬の痣はなんだ」
 カイの左頬には、くっきりと相手が拳でつけた跡があった。
「----これは、ですね………」
 カイは、ふぅ、と憂いた溜息を零し、
「何と言うか……理想と現実を隔てるものの象徴----とでも、言っておきましょうか………」
「………………」
 結局、ヤっちゃたんだな、と。
 ハヤテは口に出すのも馬鹿馬鹿しいので、クッキーをもしゃむしゃと食べた。
 どうせ、あとちょっとしたら、デッドが怨念波を飛ばすんだから。




 爆の些細な夢。
 それは、カイと”普通に”デートをする事。
 些細なのだが……実現する見込みは、ない。




<終わり>





なんていうか、日常話。
……カイ……いや、もういいや。何も言うまい。
でも、裏の帝天馬もデートよりえっちの方が多いんだけどね。
まぁ、あれは両方やろーって感じだからネ。

爆が毎回毎回ぷしゅーってなって、何だか可哀想だわ。
(呪われるカイはあまり可哀想な気がしない)