My mife is king of the world,2!
<!注意書き!>
この話は激爆新婚モノというナイスへぼ設定の話ですので、警戒しつつ(何に)読み進めてください。
なお、この話を読んだあと「頭がいかれました」とか言われても当方は責任を負いかねます。(むしろ朱涅の頭がいかれてます)
ではどうぞv
「…………………」
爆は時計を睨みつけた。時計としては、時を刻むという己の仕事を全うしているだけなのだから、睨まれても困るのだが。
時刻はもうすぐ9時。よい子は寝なくてはいけない時間だ。
(またアイツ飲みに行ってるな……)
別にそれ自体は何も問題はないのだ。
ただ、そうだと連絡をくれないと夕食が無駄になってしまう。
ついでに何かあったのかと心配もするし……
爆は激の携帯電話に連絡を取ろうと受話器に向かう。出たら文句の一つでも怒鳴ってやろうと思った。
のだが。
『は〜い、もしもし〜?』
「…………ッ!?」
出たのは女の声で。
一瞬間違えたかと思ったが、それはあり得なかった。この電話には番号が登録されていて、なおかつ名前付きで表示されるからだ。
爆が軽いパニック状態に陥っている間にも、電話の向こうで女の声がする。
『もしもし?もしもし?誰なの〜?ヤダ、もしかして悪戯電話……』
ガチャン!!
気がつけば、受話器を電話に押し付けていた。
………今のは……
心臓がドキドキいってる。激とキスをする時ようなじゃなくて温かさがない、冷えていくような……
爆はぎゅ、と衣服を掴んだ。
今のは何かの間違いなんだ。そう、例えば……
必死に考えてみるが、正当出来るような理由が思いつかなくて。
結局弾き出されたのは一番残酷なものだった。
激が
激が浮気している――――?
「最近爆の様子がおかしい」
「可哀相に爆くん……おかしいヤツにおかしいなんて言われて」
激の言葉に雹は沈痛な表情を作った。
「やかましい!関係ないヤツぁ引っ込んでろ!ていうか自分の部署に戻れよ!!」
「何言ってるのさ!爆くんに関わりがある以上、関係なくなんか無いよ!!」
雹は激の台詞の後半を無視する方向にした。
「でー?何がどうおかしいっつーんだ?」
眼飛ばしあう二人が喧嘩をおっぱじめる前に話題を戻す現郎。
「いや……それが目に見えてはっきり、て程でもねーんだけど……
まず、とーとつに抱き締めても殴らないし、無関係な場面でキスしても蹴り飛ばさないし、擦り寄ってもアッパーしてこないし、背後から近寄っても裏拳してこねーし……
あと、なんとなく俺の顔色伺ってるかなーって」
「……壮絶だな、お前らの生活は……」
そう言う現郎はその生活に混じって夕食をご馳走してもらっている。
「まぁ、けど、これで爆くんの不調の原因は解ったね」
椅子の背凭れに体重を預けて雹が言う。
「激があんまり迫るものだから、カナリヤより繊細な爆くんは耐えられなくなったんだよ。
(天を仰いで)ああ、なんて可哀想な爆くん。僕に言ってくれれば有能な弁護士引き連れてこんなヒゲと電撃離婚させてあげるのに……」
「どっかの変態が関係を強要する事による心労かもしんねーぞ」
自分と結婚した後も相変わらず爆へのアプローチを止める事の無い雹は、手にくっ付いた細かい発泡スチロールより激にとっては鬱陶しかった。
「とにかく、それは絶対に原因にあり得ねぇ。ンな事ぁ結婚前にだってしてたのに、今更じゃねーか」
あまり堂々と言える理由ではない。
「……爆が何か悩んでたりしてるんだったら力になりてーし、もし原因が俺だったらさっさと取り除いてやりてーよ。爆も俺も幸せなのがいい。
つーか何でも言うことを聞いてくれそうな今の爆についつい裸エプロンを要求しそうで……!
くッ、こんな弱さにつけ込むような事はしたくないのに、気がつけばこの手はエプロンをぉぉぉぉぉぉッッ!!」
「あの〜、御三方、もう昼休みはとっくに終わり……」
「うっせ!昼休みより爆だぁッ!!」
親切に伝えにきたカイを、激は物凄く個人的理由で一喝した。
「………………」
こんなアホタレでも、何か犯罪を犯さなければ牢屋に入れれない今の世界の現状を、現郎はいかがなものかと思ったという。
はぁ〜、と鍋の中で料理として完成していく中身を見ながら、爆は深い溜息を付いた。
あれから5日も経ってしまい、問いただすには遅い。
すぐ言えばよかったのに、そうしようとすると、喉が塞がったように言葉が出なくなるのだ。
何故そうなってしまうかは明白である。
余計な事を言って激に嫌われたくないから。……全然余計な事じゃないけど。
それと、肯定されるのが怖い。
(こんなの、オレらしくもない……)
などと思いながら、作っているのは激の好物だったりする。
(べ、別に激の機嫌取りたいからじゃないぞ。たまたま今日はこれがいいと……!)
一体爆君は誰に言い訳しているのでしょうね。
と、そんな時コール音。
「……もしもし」
電話の相手はもしかするかもしれないが、そうでなかった場合の為に礼儀正しく出る。
『よ〜、俺だよ〜』
やはりというか激だった。
「何の用だ」
『嫌だなー。用がなくちゃかけたらいけねーのか?』
「当たり前だろ」
いつもの会話だ。
いつもの会話だけど……労力は倍、かかっている。
『まぁ、確かに用があって電話してんだけど。今日ちょっと飲みに行って遅くなるから。先に寝ててな』
何処へ行くんだ。
誰と行くんだ。
この前、貴様の携帯にかけたら女が出たぞ。あれはどういう事だ。
「……解った」
『なぁ、今間が空いたような気がすんだけど……』
う。鋭い。
「けど日付が変わるまでに帰ってこいよ。チェーンしめるからな」
チン……と静かに電話を切った。
「……………」
(まぁ、いいか。あれは作り置き出来るものだし……)
自分一人分の食事を作る為、爆はキッチンへ戻った。
夕食を終えて、何もする事が無くなった爆は、テレビを見ていた。
見ていたというか、映像を網膜に映しているだけだ。
(激……は……オレの事が嫌いになったのかな……)
自分で勝手に思った事に、勝手に泣きそうになる。
確かに結婚する、って決まった後に慌しく料理を教わったから、あまり上手じゃないかもしれないし、一日一回は殴ったり蹴ったりするし、結構至らない所だらけかもしれないし、でもあれはあいつが抱きついたりキスしたり、バカな要求(例:裸エプロン)したりするから!つい!!
だいだいである。
自分は一緒にいるだけでドキドキしているのだから、その上抱擁だのキスなどされよーなものなら心臓が破裂してしまうではないか!!
……まぁ、けどそこの所激は知らないだろうけど……だって恥ずかしくて言ってないし……そんな事……
あぁもう、どうすればいいんだ!
あうー、と一人頭抱える爆の思考を遮らせたのはインターホンであった。それに通じる受話器を取る。
「……激か?」
『当たり〜。やっぱ愛が在るから誰か解るんだな〜vvv』
「……貴様、さては酔ってるな」
『うん、爆に酔ってるvv』
だめだこりゃ。
『今なぁ〜、カイとリンつれて来たぜ〜。入れてもいいか?』
「いいかも何も連れて来たんだろうが」
全くマイペースなんだから、と心の中で呟いてみる。
さっきまで静まりかえっていた室内が騒がしくなった。
「こんにちわ〜♪」
「爆殿、久しぶりです」
「おーい、オメーらあんま見んじゃねーぞ。減る!」
カイは素面。リンと激はちょっと酔っているが、飲んだ量はおそらくかなり違うだろう。ただし、激の台詞は酔っている為のものではない。
爆はこそこそと激にだけ言う。
「いいか、今回は許すが今度は承知しないぞ」
「んー、解ってるってvお詫びにキスする?」
「するな」
爆の最後の台詞に被さるように、携帯の呼び出し音が鳴った。
「あ、私のです」
カイはポケットから取り出し、メールだったのかボタンを数回押すだけで終わった。
「リン〜、出るなよー」
何やら激が意地悪げに言う。
「出ませんよ。今日はそんなに酔ってないし……」
リンはすこし酒とは別に赤くなって、カイは笑いを堪えるように顔を伏せ、身を震わさせていた。
話が全く見えないのは爆である。その爆に激が説明する。
「こいつさー、酔うと他人の携帯に構わず出るクセがあんだよ。場合によっちゃ結構騒動になったりして……
何回したっけ。4回?」
「3回です!!」
すぐさまリンが訂正した。
……えーっと……
爆の頭の中でバラバラに散らばっていた破片が、かちゃかちゃと合さっていく。
「……ひょっとして……この前……5日前、激が飲みに行った時、リンも……?」
「ああ、居たぜ」
「……席は激の隣とか……?」
「それは……んー、でも俺ちょこまか席移動すっから、座席だったしな。そん時リンの側にも行ったかもなー……って……」
「………………」
爆の異変に誰よりも先に気づくあたり、爆を深く想っていると公言するのは伊達ではないというか。
ああ、そうか。そーゆー事か。
激の中でも破片が全て合さった。
「オメー、俺が浮気してるかも、ってここ数日ずーっと思ってたんだな。そりゃー様子も可笑しくなるなぁ」
何だかそう言う激は凄く嬉しそうで、爆はとても腹が立った。
しかし事実に嘘はつけない……
「うううう、煩いぞ!ほっとけ!」
「ほっとく、なんて出来る訳ねーじゃん。こんなに好きなのに」
後ろを向いてしまった爆を背後から抱き締める。
「7年目だって浮気なんかしねーよ。命賭ける」
「……子供か、貴様は」
す、と激の手が頬を掠め、顎を優しく持ち上げ自分の方へと向ける。そうして、激が近づく。
爆はそれを目を綴じて…………
………つーか今来客中じゃん!!
「だぁぁぁぁぁッ!何をする――――――ッ!!」
爆の拳が激の脇腹に直撃!!
「あぁッ、あと少しだったのに―――――!!」
激は純粋に悔しがった。
「ほらほら、カー君。もう終わったよ」
そのちょっと離れた所で激と爆のやり取りに真っ赤に上気してしまったカイを、リンが現実に戻してあげていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「あー、これ俺の好きなヤツv」
「勝手に鍋の中を覗くな、行儀の悪い」
「やっぱこれって、俺の気を引く為に作ったんだよな」
「ち、違う!たまたま今日はそれがいいと思っただけ……!」
「うんうん、中々健気なアプローチだよなぁ。けど俺はこんなんじゃ振り向かねーぜ。そう、例えば裸エプロン……」
「えぇい、貴様はまだそんなふざけた事を言ってるのかぁぁぁぁぁぁッッ!」
ゴゴズッ!!(殴蹴)
(やっぱ……さっさとお願いしとくべきだった……裸エプロン………(涙))
という訳で新婚第2弾でーす。何かやたらと長いのですが……ハテ。
まー、激が誰かに取られてしまうかもしれないと慌てる爆が書きたかったんですけど、いかがざんしょ♪
激の気を引くために裸エプロンをする爆、とか考えていたんですけどね、それやっちゃオートマチックに裏直行vだって我慢出来るはずないじゃないv
あと、真を出そうかどうかもしたんですが……出てたら確実に殺されます。激。
そして全然そのつもりは無かったのにちゃっかり出てる現。だっていないと話進めてくれる人がいないんだもん!(カイではあまりにも無力だ)