たっぷりのお湯が入った湯船に肩までどっぷり浸かる。
時間のない時はシャワーだが、やはり風呂に入った方が汚れと一緒に疲れも取れる。
……そう、今日は色々と疲れた。精神的に。
例えば女になってしまったり、あるいは女になってしまったり、そういえば女になってしまったり、まぁ、早い話が女になってしまったり。
胸に今までになかった重さに眉間に皺の寄る爆だった。
温まったのなら、とっとと寝るに限る。
パジャマは大概自分のぴったりのサイズよりも緩い物を着る。なので、華奢になったこの身体では袖から指先からしか出なくて、ズボンの裾は引きずってしまっている。
はー、とまた重い溜息をつき、寝室へのドアを開けた。
すると!
「爆―――――――ッvvvv!!」
「どあぁぁぁぁぁッ!?」
急に後ろから抱き締められたかと思えば、あっというまにベットの上へ縫い付けられる。
「げ、激!?」
「そーでーすv」
げっきゅんスマイル☆
てっきり逃げたと思えばちゃっかり待ち伏せしていたとは!侮りがたし!激!
「何をしに来た!こんな夜更けに!」
「んー、て言うかナニをしに来たんだけどな。子供作りにv」
と、激は圧し掛かるとパジャマのボタンに手をかけ、あっというまにはだけてしまった。
発展途上で将来性のありそうな乳房が露になる。
「お、綺麗ないい胸してんじゃんvちょーっと小さいか?」
「!!!!!」
何故だか爆は言い知れない屈辱みたいなものを感じた。女になった作用だろうか?
「やめろ!離せ!!」
「といわれて離すくらいなら最初から捕まえないっての」
正論だ。捻くれているものの。
爆は抵抗して激を撃退したかったが、ただえさえ力のない身体で、手は一括に捕まれ頼みの足もこうも密着していたのでは空回りである。
「大〜丈夫v最初痛いかもしんねーけど、それさえ越えれば後は天国だからv」
「あほんだら―――――ッッ!」
爆はこの状況に恐怖した。そう、現郎と対峙した時以上に!
「爆、俺と幸せになろうなv」
激に強姦されたという時点で爆の幸せはないのでは。
近づく顔に伸ばされる手。
果たしてこのまま憐れな子羊(爆)飢えた狼(激)は食べられてしまうのだろうか。
しかし!
救世主が来たりて笛を吹く!(謎)
「なんばしょっとか―――――ッッ!」
ゴバキャァァァッ!
「ぐへぁっ!」
激は潰れた瞬間のカエルのような声を発した。
人の急所である鳩尾に昼間雹の食らった衝撃が当たったのだから、さすがの激といえどもひとたまりもなかった。
「はぁ、はぁ……なんで仙人のクセに理性が薄いのかしら?!」
「ピ……ピンク!?」
何故か博多弁で現れ、爆の窮地を救ったのは男になってしまったピンクであった。
突然の自分の登場に驚く爆に、服を調えさせながらピンクは事情を説明する。
「あんたと別れた後、どうにもこうにも嫌な予感がして来たのよ……まさかここまで最悪にどんぴしゃりだったなんて……!」
ピンクがテレポートでやって来たらば、爆が半裸状態でケダモノ(激)に襲われていたのだ。
あと一分遅かったら、と想像するだけで鳥肌ものだ。
「とにかくありがとう……本当に助かった」
爆が本当に助かったというのだから、本当に助かったのだろう(何のこっちゃい)
「こうなったら仕方ないわ……爆、あんたあたしの家へ来なさい」
「……はぁ?」
「いい?今日は本当に偶々あたしの勘が冴えたからいいものの、でなきゃぱくっと食われてたのよ!?力づくじゃもう敵いっこないんだから!
そうでなくても女の子の一人暮らしだなんて、変態どのも格好の餌食じゃないの!」
「オレは男だぞ!?」
「今現在時点で女でしょうがッ!」
ピンクは凛として言った。
「あたしが女だった時には何だかんだであんたに守ってもらちゃってたんだから、あたしが男であんたが女になったからには、あたしが守ってあげるからね!」
「…………………」
何だかピンク……男になって半日足らずだというのに、登場するキャラ(激、雹、カイ)の中で一番漢気溢れてるぞ!(他の連中がどうしようもないと言うのもあるが)
「ま……確かにカイに言われた通り、何時もどおりにいかない事もあるしな。いいだろう」
「相変わらず尊大ねぇ………」
渋い顔をしても、本当は喜んでいたりする。
性別は違ってしまっても、爆が爆だったからだ。
それは爆の方も同じで。
「んじゃ荷物テキトーに纏めたらサクッとテレポートしよっか。何だか体力だけじゃなくてこっちの方も強くなったみたいでさ」
ピンク最強伝説更新中。
そうして二人は消え、後には血反吐を吐いた激だけが取り残された。
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