羽のように風に舞うカーテンからは暖かな自然照明。 BGMには遠くの森からの小鳥の囀り。 最高のシチュエーションの朝に、テーブルの上にはそれに負けない素敵な朝食。 雹は声を上げて最終チェックをする。 「ワッフル良ーし!シロップ良ーし!僕のコーヒーと爆くんのミルクも良し!! さぁ〜て後は……おやようのキ・スvvv」 ラララ〜、とテーブルの上にはかからないように薔薇を散らし、爆の寝室へゴー! 「爆く------ん!今日も君と僕の一日が始ま……」 ……雹がその目に捉えた光景は。 上のパジャマしか着てない爆に。 ズボンのみ着用のチャラが圧し掛かって。 そいでもって爆はその首に手なんか回しちゃったりしていて。 ………………… その室内は針の塔でも無いのに。
時が止まった。
「あうあうあうあうあうあ〜〜〜〜ッ」 雹は泣いていた。 それこそスネ夫に自慢されてドラえもんに泣きついてるのび太よりも見事な泣きっぷりだった。 「ったく、なんだよいきなりやってきたと思ったらいきなり泣きやがって!いきなりなヤツだな!」 しかしそんな雹に転がり込まれた激としては堪ったものではない。騒音公害も甚だしい。何より目障りだ(酷)。 「あう〜?あうあうあう!あうあうあうあうあう〜〜〜!!あう〜…………」 「へぇ……チャラと爆がねぇ………」 「……師匠、何故今の言葉が……」 そんな疑問で頭を埋め尽くされたカイはほっといて、雹はさらによよよ、と泣き崩れた。 「ううう……爆くん、僕の何がいけなかったというんだい……?(ここで”全部だよ”カイと激は思った) そりゃ嫌がるキミにXXXとかXXXとか事させたけど、その後ちゃんとXXXXXしてあげたし……」 「カイー、鼻血噴いた所ちゃんと自分で掃除しろよー」 雹ははぁ、と溜息をつき、 「……でもね、薄々こんな日がくるんじゃないか、って気はしてたんだ。 僕には爆くんしか居ないけど……爆くんはそうじゃないから」 「うん、それはあるな」 げっきゅんが雹の意見に賛同したのはこれが初めてであった(そしておそらく最後) 「ちょっと!ここで嘘でもいから”そんな事ないよ”ぐらい言えよ!」 「ソンナコトナイヨ」 「ぎゃーっ!嘘臭せぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」 雹様はのた打ち回った。 嘘臭いのは当然だ。だって嘘だもんv ピンポーン♪ ここでインターホンが鳴った。 「今日は客が多いですね……… あ、爆殿」 ”爆”という固有名詞を聞いた途端、雹の聴力が4.5倍アップ(当社比)。 「雹が来てるだろ。迎えに来た」 えぇ?爆くんが僕を迎えにぃ〜?vvvv ってハイになれないんだ!今は!! 「嫌だよ。爆くんだってチャラと二人っきりがいいんじゃないの?」 「チャラならさっき救急車でICO(集中治療室)へ運ばれたぞ」 何をした、雹。 「とにかく僕は帰らないから!ずっと此処に居るんだからね!」 「オメーが爆の所から出て行くのは日の丸掲げて賛成だけど俺の所に居つくのは止めろ」 こんな時でもしっかり自分の都合を押し通すある意味立派な激である。 「どうせ爆くんはチャラが………!!」 と、先ほどの光景を思い出した雹から目の幅ある滝のような涙がだばーと溢れる。 「だから……あれは誤解だと」 と言う爆の顔が仄かに赤い。おや〜? 「じゃぁ何だっていうのさ!納得いく説明してよ!」 「……だから……チャラの上着がなかったのは、あいつがシャワー帰りで、オレがズボン履いて無かったのは昨晩が暑くて……」 「それだったらあの姿勢は何!!?」 爆の顔がますます赤くなる。おやおや〜? 「そ……れは………」 意を決したのは、爆はぎゅ、と目を瞑って。 「チャ……チャラが、ふざけて貴様の声色真似して呼んだりしたらから……オレも間違えて………っ」 全てを言い終えた爆はぷしゅーと沸騰した。 で。 一方、雹の背景が暗雲→グラデ→薔薇へと変化し。 そして。 「……爆くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんんッ!!vvvv」 後は毎度同じみな展開となりましたとさv
そして数日後。 場所は……やっぱり激の家だったりする。 「爆くぅ〜ん、帰って来てよぉぉぉ〜」 どんどんと何度もドアを叩いても、爆は顔すら覗かせてくれない。 「嫌だ。他のヤツとオレの声の区別もつかないヤツのところへは帰らん!!」 「そんなぁ〜。爆くんだって同じだったじゃない〜。チャラ使って僕試すなんてズルいよ〜」 「煩い!貴様は”僕なら例え寝起きでも爆くんの声は解るよv”って言っただろうが!!この嘘吐き!!」 「え〜ん、だってぇ〜」 「しかも気づいたのがキスして押し倒してボタン外した所でようやくだ!やっぱり誰でもいいんだろうが!」 「そんな事ないってば〜。あぁん、僕の天照大神〜」 「……見てて飽きねぇな〜。コイツら……」 激の意見がこの場で一番正しかった。
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