dream or reality,
夢と現実の境界線なんて、とても曖昧で
痛かったら全ては現実なんだろうか
……この世界が誰かの見ている夢だとしたら
その夢を見ているのは
ワタシ
ですか?
キミ
ですか―――?
外はまだ凍てつく程寒いが、全面ガラス張りで太陽の熱を最大限に吸収するこの室内は、春のように暖かい。
なので現郎は昼寝をする時は専らここで惰眠を貪るのだが……
先客、が居た。
爆。
「………………」
一瞬寝たふりでもして自分を待ち伏せているのかと思ったが、極近い所に来ても爆は目を綴じ、規則正しい寝息しか聞こえない。
右を向いて寝る爆に、目にかかる髪をちょいと退けてやり、頬を軽く擽ってやった。
が、爆からはうにゅうにゅと寝言だかなんだかよく解らないものが聞こえただけで、起きる気配はなかった。
(つまんねぇ……)
そう思うって、ふ、と笑う。
自分が寝ている時、爆もこう思っているのだろうか。
だったら嬉しい。
だと嬉しい。
横へ寝そべっていつものように爆を腕に閉じ込め、現郎もまた目を綴じた―――
落ちていく
夢の中へ落ちていく
誰かが呼んでいる
誰だ?夢の中まで自分を呼ぶのは―――
ゆるゆると上がる意識
光に包まれる視界
そして見えた声の主は………
「……うつろ……現郎!!」
「あ〜?」
ベシベシと頬が赤くなる程叩いて、ようやく起きた。
ボケー、と寝ぼける現郎に、爆は腰に手をあたる大人っぽいポーズを取る。
「ようやく起きたか。全く、貴様は本当に寝てばっかだな」
「……オメーの方が先に寝てたんじゃねーか」
自分が寝ること意外にする事がないみたいに言われて、現郎はちょっとムカッときた。
しかし、爆はきょとんとしていて。
「先……って、何時だ?」
現郎は訝る。
「何時って……ついさっき、ここへ俺が来てたら、オメーもう寝てたじゃねーか」
現郎がからかいでもなく冗談でもなく真剣に言うから、爆は困った顔をする。
「オレはさっきまで炎と居て……おやつが出来たから貴様を呼びに来たんだ。寝てなんかいないし、此処にも来てない」
「…………?」
現郎は何やら考え込み……やおら爆に手を伸ばし、ほっぺたを左右に伸ばした。
「ぅあッ!?」
「……痛ぇか?」
「いらひ(痛い)〜ッッ!!」
爆が痛さを訴えたので、現郎は手を離した。
(……って事は、こっちが現実か……)
両頬を摩りながら文句をいう爆を置いといて、ぼんやりと思う。
(夢にしちゃーやけにリアルだったな……)
差し込む日の暖かさとか、爆の寝息とか。
それともこっちが夢なんだろうか?
……まぁ、いいや。
爆さえ居ればここが夢だろと現実だろうと。
「現郎!!」
自分の頬を理由もなく引っ張った上にしかも無視する現郎に怒声を浴びす。
「あー、ンなに怒んなって。おやつ半分分けてやっから」
てな事を言ってみたら、爆の表情がパァッと明るくなった。
……解りやすいヤツ……んでもってガキ……
「現郎!早く行くぞ!!」
「わーってる」
のっそりと起き上がる現郎の手をとって爆は歩く。
二人の身長差だと、爆が掴んで来るにしても現郎がちょっと屈まなければ手が届かない。
(こーしてっと腰とか結構しんどいんだよなぁ……けど……)
まぁ、いいか。
久しぶりのロイヤル現爆です。……やっぱりというか現郎メインの話だと寝てばっか。動けよ!(人の事言えない)