An Afternoon Nap
現郎は三度の食事よりも寝ることが好きだ。
というのはここにいる誰もが知っているわけで、例えばいかにも外へ出掛けるに相応しい天気の日に、現郎が廊下で寝っころがっていても誰も気にしないのだ。
今までは。
「うつろ〜〜〜!」
ヤバい!と思った時にすでに時遅し。
よりによって今日は仰向けに寝ていたため、鳩尾に上手い具合に膝が当たった。
「!!!」
「現郎、遊ぼ」
涙目になって腹を抱える現郎に悪びなくケロッという。
「爆……オメー……なぁ……」
「ん。起きたな。遊ぼ」
今日はすぐに現郎が起きたので爆は上機嫌だ。
爆は三年前に産まれたから今三歳だ(当たり前)。小さいと思っていたが全体重をかけて圧し掛かられると結構大打撃だ。
遊ぼうと言われて現郎の返事は決まっている。
「嫌だ。俺は眠ぃ」
ごろーんと横になる。これで腹はガードされる。
現郎が横を向いたため、爆は落ちてしまったが、またよいしょよいしょと登って、
「遊ぼ」
「…………」
耳を引っ張ってみた。返事無し。髪を引っ張ってみた。返事無し。
「遊ぼ遊ぼ遊ぼ遊ぼあそ………」
「だぁぁぁぁぁぁぁ!うっせ――――!!」
連続攻撃、大成功。
「遊ぼー」
この大物っぷりは父親似か母親似か……
(両方だな)
疑いようがなかった。
「現郎ー?」
「あー、遊んでやるから顔叩くな」
「ホントか?」
ぱぁっと爆が明るくなる。
今までは現郎に遊ぼと強請っているとそのうち誰かがやってきて(例:真、炎)、代わりに遊んでやるから、な流れになるのだ。
だから現郎と遊ぶのはこれが始めてだ。
「何して遊ぶんだ?」
わくわくしている爆を寝たままひょいっと抱えて、そのまま自分の横に置いた。
「昼寝」
現郎らしかった。
当然、爆が承諾するはずもない。
「何で昼間にも寝なきゃなんないんだ!夜になればどうせ寝るんだろ!!」
「オメー早く大きくなりてーんだろ?寝る子は育つって言うぜ」
「やだぁ〜〜〜〜外で遊ぶ〜〜〜〜!!」
と、しばらく現郎の腕の中でジタジタしていた爆だったが。
十分後。
「……俺より先に寝るし……」
呆れ顔の現郎の視線の先には呑気に眠る爆の顔が。現郎に身を寄せてそれはそれは幸せそうに寝ている。
(ちっせーよなぁ……こんなんでよく動けんな)
熟睡してる事をいい事に、爆の掌を開けたり閉じたりした。こんなに小さいのに人としての機能を果たしているのだ。当たり前だが。
(これからコイツ、どんどん大きくなっていくんだよな)
そうすれば、自分で行きたい場所にも行けるし、したい事だって。
今は自分に何故かひっついてくるが、それもそのうちなくなるのだろう。
……それはちょっと寂しいような。
(って俺が思う事じゃねーだろ……)
こんな感傷に浸ってどうするんだ。真や炎様じゃあるまいし。
「ん……んん……」
ふいに爆が何やら寝言みたいなものを発し、手が彷徨う。なんとなくその手を取ってみた。
そうしたら、今度ははっきりした言葉が聞こえた。
「……うつろ……遊……ぼー……」
「…………」
現郎は横を向き、つい漏れそうになる笑い声を抑えるのに必死だ。
「オメーにゃ負けるよ」
明日はちゃんと遊んでやるかな、と、今はとりあえず爆と同じ夢の中に入ることにしよう。
<END>
という訳でロイヤルファミリー第一弾!爆、三歳からスタートです!(いつになれば爆は10歳になるんだ……?)
勿論真も炎も天も出演します。
で、真の役どころなんですが。
私、去年の11月くらいにファミリー本出してましてね、んで、それ読んだ親友が感想を述べたのですが、
「この人(真の事です)って……親ばか?」
……みなさん、アリですか?
親ばかな真はアリですか!?(といっても私こんな真しかもう書け(描け)ないから……真ファンの人はあまり見ない方がいい……のかな?)