れもんキャンディ



「爆くん、お口に何を入れてるの?」
 間にクッションを置いて壁に凭れる爆の頬の中を、何かがコロコロと行ったり来たりしている。
「アメ玉だ。商店街のくじ引きで当たった」
 視線の位置を変えると、さっきは爆の身体で隠れていたガラスの器があった。
 中のキャンディは窓からの太陽の光を浴びて、ビー玉みたいにキラキラしている。
「僕にもくれる?」
「いいぞ」
 キュポンとコルクの蓋を開け、一つ取り出し雹に差し出す。
 が。
 雹は何故かニコニコして爆の側に腰を下ろしただけだ。爆は首を傾げる。
 雹は言った。
「食べさせてv」
「……………」
 爆は渋茶を5杯くらい一気に飲んだような顔をした。
「貴様な……」
「あ〜ん♪」
 雹はまるで聞いていなかった。
 爆ははぁ、と軽い溜息を付くと、雹の口の中にキャンディを放り込んだ。
「ん。おいしv……レモンの味だ。爆くんのは?」
「ブドウだ」
「ブレープか……そっちが良かったかな」
「だったら……」
 もう一ついるか?と爆が言う前。雹の口唇が爆のと重なる。
「…………!?」
 口唇を舌撫でられ、爆が慄く。その隙に雹の舌が爆の口腔へと侵入した。
「―――ッッ!」
 と、何かがぐるんと回った気がした。
 ……雹の口唇があっさり離れた。その先までいくのかと思ったのに。
「……あ?」
 ……さっきと、味が違う?
 この味って……
 雹はその横でのほほんと微笑んでいる。
「うん、こっちのが甘い」
「…………」
 何か負けた気がする爆は、少しむすっとして。
 口の中のレモンキャンディを味わう事だけに集中した。



ちょっち悪戯っ子な雹様。アメ玉最近食べてないな……ってあれって食べる食べないと表記するものなのか?
にしても短いですね。(というか雹爆って短いの多。まさにssだね☆)