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……暗い室内に、幼くたどたどしい、嬌声じみた声が上がる。
「……ンッ!ぁ……」
「爆……平気、か?」
「ぅん……」
固く閉じた双眸から涙が零れた。
「……力、抜いて……」
「あ……!」
異質な熱を感じ、ヒクンと喉が鳴る。
「ふぁ……あ、ぁ!」
「爆……!」
「ぁッ……ぇ、炎!」
…………
カチコチカチコチ……今は何時だろう。
さっきまでの熱く激しい空気は何処へいったのか。
今自分の周りにあるのは冷たい沈黙。
原因は明らかに自分なのだから、それが却ってどうしようもできない。
「……俺よ」
隣の激が口を開く。
「……よくテレビとかで恋人のメールとかチェックするヤツ見て最低だとか思うんだよ。けどよ……」
「…………」
「相手にベットの中でさぁ、しかも「最中」に他所の男の名前呼ばれたらマジでヘコむぜぇぇぇぇぇ〜〜〜〜?」
「……………………」
目の幅はありそうな滝のような涙を流しながら縋る激を、当然振り払うなんて事が出来るはずがなくて。
(……こういう時はやっぱり謝った方がいいのか……?でも余計に惨めになりそうな……)
あうあうと爆は悶絶した。
「……別にいいんだけどな……いや、全然よかねーんだけど……」
爆の肩に顔を埋めながら言う。
「……すまん。今日炎の夢見てたから……」
「炎とエッチする夢とか?」
「…………!!」
(おいおい当たりかよ……)
真っ赤になる爆を見て、いよいよ再起浮上不可能に陥りそうな激だ。
「で、でもオレは激の事好きだからな……」
こんな事があっては嘘にも思われるかもしれないけど……これは本心からそう思う。
「……好きだからな……」
「……ちゃんと解ってるって。だから泣くなよ」
「ぇ……?」
爆は言われてきょとんとした。
……どうやら、この世界の覇王は、世界を熟知出来ても自分の涙腺は制御出来ないらしい。
苦笑しながら涙を拭ってやる。頬を撫でられているようでくすぐったいのか、爆の顔が綻ぶ。
引き寄せられるように口唇にキスを落とす。
「……俺のことは……好きだけど……まだ、特別じゃねーんだよな?」
「……言ってる意味がよく解らん」
「だから。オメーの中で「特別な人」と「好きな人」がまだ違うんだよ」
……無理も無いと思う。話を聞けば爆はその敬遠な生き方で周りから孤立すらしていたという。
夢すら否定されて。
そんな時に、その夢を肯定してくれる人が現れたら……
例え、詭弁だと解った後でも。
「…………」
炎はそれを踏まえてあんな事を言ったのだろうか。あれも策略の一部だったのだろうか。
そうだとしたら。
「……激……怒ってる、か……?」
知らない間にふつふつとまた込み上げた感情が表に出てしまってたらしい。爆はそれを自分のせいだと思ったみたいで。
「違ーよ。ま、焦らない焦らない。時間はたっぷりあるからゆっくり俺を「特別」にしてってv」
そうして腕に収めた。
偽りの優しさすら受け入れる、愛しい子――
これからの長い時間。君は俺を「特別」にする事だけ考えて
何故なら俺の中でとっくに
お前は「特別」で「好き」な人だから――
激に抱かれながら炎を想う爆。……何か冷静に考えたらすっごくヤバないか!?コレ!さり気なくギャグテイストでまとまってるけど!
ん〜でも爆の「好きな人」はちゃんと激だから……これで勘弁☆(何を)
しかもこれ、ちこさんリクのヤツとリンクしてますね。あのあとこいつらデキたんかい(笑)。
つーか最近激爆しか書いてないよぉな。
……いっそ爆総受けサイトから激爆中心サイトに転職するか。オイ。(大丈夫。やってることは何一つ変わらない)
あ、タイトルはピアノの用語で「一つ一つの音を十分に保つ」という意味です。