go straighten。




「あー、げっきゅんだ」
と、隣のピンクは廊下の向こうで笑っているヤツを見て言う。
「げっきゅん?」
 一体何の事かと爆は訊く
「ほら、あそこに居る上級生よ。激って名前だからげっきゅん」
「知り合いか?」
「ううん。でも結構有名だし。知らない人からもげっきゅんって呼ばれてるみたい」
 あぁ、たまにそんなのが居るな、と爆もその人を見た。
 親友らしき人物に腕を肩にまわして楽しく笑う。
 通りがけの生徒から何か言われて楽しく笑う。
「ああいう人って悩みなさそうだよねー。いいなぁ、いっつも笑っていて」
「…………………」
 まだ激は笑っていた。


 チャリン。
「あ!」
 チャリンチャリンチャラ…………
 手を伸ばした時すでに遅し。
 100円玉は自販機の下へ転がってしまった。
「ついてないな……」
 新しい100円玉を出すか、棒か何かでかき出すか。
 考えている爆の横からすっと手が伸びて、
 チャリン
「………………」
 げっきゅんだ。
「どうぞ」
「……え?」
 まるで紳士みたく手を差し伸べる。
「金、落としちまったんだろ?」
「いらん。まだ金はあるし。
 それに、知らないヤツから奢ってもらう義理は無い」
「じゃ、今からお知り合いになりましょう」
 激は爆の尊大な物言いが気に入ったらしい。
「それに、今のは便所で拾ったモンだから」
「?」
「人に奢れば拾った金使ってもいい事出来たと錯覚出来るし。
 あ、でもおつりはくれな?」
 これで断るのは野暮だな、と爆は思った。
「……それじゃ、遠慮なく」
 60円の紙パックのジュースを買ったから、おつりは40円。
「……”げっきゅん”だよな?」
「ん?あれ?何処かで会った?」
「いや、さっき友達に教えてもらった。
 それで、そいつが言っていた」
「なんて?」
「悩みなさそうでいいな、って」
「しまった、もう見抜かれてる!」
 ペチン、と掌で額を叩いた。
 いいタイミングだったので爆は思わず噴出す。
 そして。

「悩みのないヤツなんて、居る訳ないよな?」

「……………………」
 激の笑みが消えた。……といっても怒っている訳でもなかったが。
「あ……?オレ………」
 何か変な事言ったか、と訊こうとしたら。
 手を捕まれて。
「何も言わずに受け取って」
 と、真剣な顔で掌に押し付けられたものは……
 おつりの40円。
「はぁ?……って、オイ!」
 40円を呆然を見ている端、激が昇降口から出る。
「どうしてもいらないんだったら警察届けといてー」
 ……40円をか?
 そうしてまた誰か来て、激はいつもの笑顔で笑いながら去っていった。
「…………………
 変なヤツ」
 爆は素直に感想を述べた。
 手の上には、40円。


 後日。
「爆ー、手ぇ出してv」
「……また貴様可笑しなもの持ってきたのか」
「可笑しくねぇよ。長野限定発売のブルベリーのおっきいポッキーだよ」
 十分可笑しい。
「……長野限定をどうやって購入出来たんだ」
「ハンズ行ったのv今度一緒に行こvv」
 ガサゴソとおっきいポッキーの入ってるおっきい箱を弄る。
 ちなみに昨日はおっきいきのこの山でその前はおっきいアポロだった。
「よく下級生の教室に堂々と入れるな」
 別にバリヤーが貼られている訳でもないが、自分以外のクラスというのは何故か入りにくい。
「そりゃー入るよ。爆に会う為なら」
「何でだ」
「え?だって俺、爆の彼ぴだろ?」
「そうなるのか?」
「俺は思いっきりその気だけど?」
「……ふーん。だったらいい」
 ブルベリーのおっきいポッキーは。
 微妙な味がした。





彼ぴとは彼氏の事です。皆もよく言うでしょ?え?言わない?
よく各地で迸る限定物……北海道はメロンで長野はブルベリー。あとは知らない(ダメじゃん!)
で、我が地元(名古屋)は何かと言うと。
 味噌だってさ。
味噌かよ!!……ヤだなぁ……この味のポッキー……(うわ、想像しただけで鳥肌が!)
ちなみに限定キティちゃんはハッピをしていて両手には名古屋コーチン(ニワトリ)を持ってます。
食うのか、キティちゃん!猫だから!!

ところでこれで激爆がついに20作目なんだv誰か称えろ!!(いや、しなくてもイイッス!!)
次がカイで11作。その次は雹と現が同じ8作……よく書いたもんだ。