どうしてもキミがいい




 昔、俺は星が欲しくて欲しくて

 今はもう届かない事も知っているのに、実はちょっと欲しくて

 欲しくて…………



 俺と爆の初対面は……ちょっと微妙だ。
 だから、初めて爆が俺の視界に入り込んだ時、ってほうがいいのかな。
 まぁ、ともかくその時の爆は、はっきり言ってヤバい状態で。
 俺はフネン(爆的にヒゲ)だったからうろたえた所で表情にゃ現れなかったけどな。
 爆はボロボロで。
 生きているのが不思議というか、死んでないのがおかしいというか。
 ともかく、そんな容態の爆。俺は仙人としてもそれ以前でも助けなくてはいけない。
 のに。
 差し出した手(いや、ヒゲか?)は一瞬止まってしまった。
 躊躇した。
 畏怖した。
 この俺が。
 目の前の大怪我ぶっこいているちみっこに。
 ……こんな大怪我しても尚、

 爆は、助けられる事を拒んでいた。


 生きている上では必ず自分に何かが寄り添う。
 それは恋人だったり伴侶だったり。
 家族だったり、はたまたペットかもしれねぇ。
 爆はそれを嫌っている。
 一人で立ち続けようとする。
 そう、それはまるで。
 例え地に伏せたとしても屈する事の無い、誇り高き孤高の。
 周囲に順応出来んがプライドの為、確実に滅びへ向かい。
 しかし決してそれを懼れぬ。

 野生の魂


 ……全く。
 やっかいなヤツを好きになったもんだ。
 どこぞの歌詞じゃねーけど。ホントに。
 野生の獣は。
 檻に閉じ込めれば自害して、野に放てば捕まえれる事は決してない。
 俺は自由に翔る姿を見てるだけじゃ我慢出来ない。
 ……どうしようもねぇよ。
 この究極のジレンマを解決するのに、とても簡単で確実な方法がある。
 諦める事。
「……ん…………ぁ……………」
 あ、いけねぇ。
 うっかり考え込んで爆とキスしてんの、忘れてたい。
 まだ慣れてねぇもんだから、俺が息継ぎさせねぇと出来ねーの、コイツ。
 十分楽しんだし、ここらで離してやるか。
 名残惜しげにじっくり離れると、すぐさま爆の肩が上下する。
「……相変わらずキス下手だなー、オマエ」
 技や術はものすげーあっさり覚えたクセに。
 俺的にはこっちをもっと……いや、初々しさってのも捨てがたいな。
 爆はム、とした。
「うるさい!!」
「だったら上手になってみやがれってんだ」
 ムキになって幼くなる爆が見たくて意地悪してみたり。
 全く。
 俺はどうしても。


 どうしてもキミがいい
 キスもまだ下手くそなくせに



このタイトルも、最後2行も某歌より抜粋ですvアルバム曲だから一般は知らんかも。
今回は激の葛藤ですねー。おお、珍しく頭を使ってる!!
無いもの強請り……ではない。だってあるのに。
ピン爆のとんでもない話を書いたせいか、こんなしんみりとしたものに(笑)