太陽の雫1オンス



「どぉぉぉぉうえおわぁぁぁぁぁぁ」
「……何アホ面こいてアホな声上げてんだよ」
 生まれながらに培ったのか、はたまた環境が構築させたのか、いずれにせよ現郎は生粋の出不精だ。
 しかし、今日は強引に外へ連れ出してみたのだった。理由はもちろん暇だから♪
 で、自分の故郷のサーに出掛け、適当にぶらついていた最中、汗をかいたから水浴びをしようという事になったのだが……
 初めて見た現郎の身体に激はただただ驚愕した。
 何故ならば。
「スッゲー刺青……」
 が入っていたからで。思わず口の形が四角になろーというものである。
「別に彫った訳じゃねーよ……」
 滝と言うには規模が小さい、上の大岩から流れ落ちる水を浴びながら現郎が説明する。
「……俺の故郷の惑星には常に特殊な放射能が注がれている。人体に悪影響はねーけど、こうやって肌に模様が浮かび上がる。
 まぁ、オメーらの言う黒子みてーなもんか」
 激は豪快な黒子だなーとか思った。
「てことはオメーの星のヤツは全員ヤクザまがいの彫り物が身体の至る所にあるっつー訳か」
「勝手に人の住民をヤクザにすんなよ。
 別に皆がこうじゃねーよ。場所も大きさも形も区々だ。それこそ点みたいなヤツだっているぜ」
 ふーん、と激は納得した。

 そしてここから時が流れる事約700年。

「ん……げ、き……」
 枕に埋まり、むずかるように首を振ったが、それは離れる事は無く。
「激……んーッ……」
「…………」
 軽くキスを繰り返していた中、そこをもっと確かめたいと舌が這う。その感覚に爆は疼く。
「げ……きっ……いい加減にせんかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「どぅふ!!」
 ちっとも言う事を聞いてくれない激に、ついに爆の我慢が限界に達した。顎の下を狙った拳が激に減り込む。
「さっきから何をしとるんだ、貴様は!寝れないじゃないか!!」
「じゃー、違う意味で寝ようか♪」
「……永眠させて欲しいんだな……?」
 怒気を孕んだ爆が指を鳴らす。
「すいません。俺が悪かったです」
 ヤバい!と思った激は即座に謝った。
「全く……会った早々……」
 爆は額を押させて溜息をついた。
 激と会って、爆はまずお互いの近況を知らせあうのが普通なのだと思う。が、激はそうでないようで。
 挨拶もしない内に深く口唇を重ねられ、そのまま身体を求め合った。
 ……まぁ、確かに自分も(少しは)そのつもりで来たのだから、どうとは言わないが……
 それでも二言三言ぐらい言葉を交わす余裕くらいあってもいいではないか。
「無ぇよ、ンなもん」
 爆がそのような事を言えば、激はすぐさまそう切替した。
「余裕ぶっこいて傍観して誰かに爆攫われるくれぇなら、いっそ見っとも無ぇくらいだだこねてやる」
「……貴様は開き直った不良か……」
 爆は呆れた。
「……それに、オレは誰かに攫われてしまう程、弱くもない」
 暗に自分からは離れない、と言う事をそっぽを向いて言う爆。そうすると激は子供みたいに満面の笑みを浮かべ、また爆の首の付け根にキスをする。
「また其処にする!!何かあるのか?」
 そのキスに敏感に反応し、爆は激を見据えた。誤魔化す事は許さない、というように。
「……何か……って……」
 実は、あるのだ。
 あの日、ツェルーで現郎からこの世界の真実を聞かせれた日。
 ……その時爆の素性も聞いた。
 爆もまた、現郎達と同じ、星の住民であったという事。
 ……その時は何もかもショックで、受け入れる事に全てを使ってしまっていたが、少し経ってからふと思ったのだ。
 昔、現郎から聞いた異星の民の証である紋様。
 爆にはないのだろうか……?
 本人にばれないように細心の注意を払って探して……そして、見つけた。
 当時、胎児であった爆には放射能の影響は限りなく少なく、けれど全く受けなかった訳でもなく。
 それはとても薄く、淡く……肌が上気した時にだけ……
 例えば、風呂に入った時とか、

 自分に抱かれている時にだけ

 背中と首の境目の、少し上ににあるから、角度的に爆は知らないだろう。
 もちろん他のヤツも知らない。
 知っているのは、自分だけ。
 だから……
「秘密」
「……は?」
 まさかはぐらかされるとは思っていなかった爆はぽかんとした。
「秘密ったら秘密。教えなーい」
 この話はこれで終わり、と激は布団に潜った。
「ちょ……激!教えてくれたっていいだろうが!オレの身体だぞ!?」
 爆の主張は何処かずれている。
 無意識に幼さを暴く爆に、つい教えそうになるが。
「ひーみーつー」
「激ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
 

 いつも自信満々で前を進む君だから

 そんな君にこれくらいの優越感

 したっていいだろう?(笑)

えー、今回かなり設定がご都合趣味に入ってます……
つーか、あの暇さえありゃ寝る、という現郎が全身刺青なんつー面倒くさい事を果たしてするだろうか!?と思った所から全ては始まりました。案外やってる間中寝ていたのかもしれんですが……
現郎を描く上で泣かせてくれるのがあの刺青ッスね。いや、ワタシ今まで一度たりとも描いた事ございませんが(描け)。

まぁ、爆も知らない爆の秘密を知ってるげっきゅんのお話が書きたかっただけなんですけどね。
前にもこんな話書いたけど、あれは爆にばれちゃったし(セピアの香りに包まれて:参照)
ウチの激は爆に大して余裕のある人になりたいから、それの源とでも言うんですかね。