「炎!おい、炎!!」
「んー……」
炎は最近徹夜が続いて、ようやく眠れたのだ。もう少し、寝かせて欲しいのだが。
「炎!素直に起きないとバズーカ食らわすぞ!」
爆は本当に食らわせちゃう人だから、炎はのっそり起き上がる……って、爆?
「爆!?」
「オレがナマモノにでも見えたか」
そんな訳は。
いや、というか何故爆が。
確かに最近会ってなくて、そろそろ会おうかなーと思っていたけど。
は。もしやまた気持ちが高まって無意識にテレポートしてしまったのだろうか。
「あぁ、また無断外泊を……」
あの後、実は現郎がとても煩かったのだ。まぁ、心配掛けたのだから当然だけども。
「何を言ってるんだ。此処はお前の国だろう」
「え?」
と、カーテンを開けて見下ろす光景は、なる程爆の言った通りだ。
「…………?」
「ふん。星間テレポートが出来るのは自分だけだと思ったか」
こんがらがっている炎に、爆が居丈高に言う。
「……出来るようになったのか」
「だから居るんだろうが」
どうも会話のしかたが斜めだなぁ、と思う。何を照れているのか。
「……で、どうなんだ?」
「どう……て?」
「だから、何だ……調子とか、具合とか……」
いつもはっきり言う爆にしては、歯切れの悪いセリフだ。
もしや、と思った事を炎は言ってみる。
「爆、俺が会いに行かなくて寂しかったか?」
「っ、!」
爆が息を詰らせた。それだけで、十分だ。
「そうか。俺に会う為に術を覚えたのか」
「ちっ!違う!オレは自分の為にだな……!」
「爆」
折角会ったんだから、喧嘩みたいな真似は止めよう、と、ぎゅ、と抱きすくめる。
うー、と小さく呻く爆。こうさせるのは不本意だと。
「……何か貴様、余裕だな」
腹が立つぞ、と付け足す。
「余裕というかなぁ……ふと今までを思い返してみたら、そんなにかつかつ会わなくてもいいんじゃないか、と思うようになったかな」
「ふーん……」
「別に、お前が会いに来て欲しいんなら、前みたいに頻繁に行ってもいいが?」
「……図に乗るな」
ぎゅみ、と頬を抓られる。
「待つのは好きじゃないんだ」
爆が言う。
「だから、会いに行く」
----こんな爆だから、自分も自信が沸いてくるのだと、多分本人に言っても解りはしないだろう。
<END>
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