”それなりに時間を頂戴”
それもまた計画の内だったのか、そうでなかったのか 少なくともオレの中に残るという点で、あいつの取った行動は大成功だ
当ての無い事を言うのは嫌いだ。だからオレは夢を語るのを止めない。 自分の望む事全ては、自分で創れる物だから。
けど。
自分ではどうしようもない願いは確かにあって。
オレの場合
どうにか
ほんの少し
時間を
遡らせて
「-------………」 起きたら目がぱさぱさする。 また、寝ている間に涙を流したみたいだ。 また、あの夢を見たようだ。 自分の国で初めて炎に会った所から針の塔で炎と再会する場面を、まるでビデオのリピートみたいに、ひたすら繰り返す。 今までだって悲しい事は山ほどあった筈だ。でも、どんなにそれを思い出してみても、あるいはうんと悲しい事を想像していても、あの時のあの言葉。
”なんだ、生きてたのか姉上……”
再び会えたなら、是非言いたい言葉があった。 けれど、このセリフを聞いた途端、ぱあんと弾けて、もう2度と形となる事は無いだろう。 いいんだ、別に。思い通りにならない現実は初めてじゃないから。 無くても構わないし、むしろ咎や枷になりそうだから、むしろ言わなくて正解かもしれない。 前を向けるようになったあいつを、また引き返すような事は本意じゃない。
もう少し時間が戻せれたらいいと思う。 でも、何処までかが解らない。 初めて会った時か、助けられた時か。 再会した時か。
あのセリフを言われる前か。
人が死んだ魂の行き場はちゃんとあるけど
言われなくなった言葉は一体何処へ行くんだろう
「好き」
それとも実はまだこの中にちゃんとあって
何時かその人に伝わる時を
待っているんだろうか
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