シトリンとオニキスの睦言・22





(今日から、ミッチーの家に泊まるんだ)
 休み中、ずっと。
 外は相変わらず寒し、荷物は沢山だけど、足取りは軽い。
 天馬の手には自分の荷物の他、スーパーで買った食材がある。帝月が、天馬が出る時に適当に買って来てくれ、と頼んだからだ。
 泊まる荷物、と言っても粗方必要な物はすでに帝月の家にあるから、天馬は服を数着用意するだけで良かった。買い物をするのはお安い御用だった。
 メニューを任されて、天馬は鍋にしよう、と決めた。1人ではとても食べる気にならないものだから。それに、初めて泊まった日に、冬は鍋にしようと話していたのだから。
(鍋の締めは雑炊かな。うどんもいいなぁー)
 天馬は急ぐ。帝月の家へ。




 門の前に着く。
 いつも一緒に帝月に入っていたから、こんな風にインターホンを鳴らすのは初めてだった。
 鳴らして、すぐ開いた。
「ミッチー!………」
「…………」
 てっきりそうだと思って名前を呼んだのに、全然違った。
 今、目の前に立つ人物は20前後の男性で、ワイルドな髪型、ビジュアル系な衣服。目つきも悪く、唇からは牙のような八重歯が除き、とてもこの家に相応しいとは思えないような容貌なのだが。
 此処に居るのが当たり前、みたいな雰囲気を、彼は身に纏っていて、居る事を納得させてしまう。天馬もそう思った。
「……えと、」
「ミッチー、て誰だよ」
「え?……ぁ、帝月」
 質問する前にそうされ、出した返事に相手は溜息をついた。
 またか、という小さなセリフ付きで。
「帰れ帰れ。坊ちゃんはお前なんかにゃ会わねーよ」
 ぐい、と押されて、天馬は焦る。
「ちょ……!ミッチーに会わせろよ!」
「うっせーての。お前は今日1回会うだけだろーけど、坊ちゃんは何回もこういう目に遭ってんだよ。解れよそんくらい」
「え………」
 何回も……て。こういう目……て。
「に、しても、お前お使い途中に押しかけに来たのかよ。長ネギ持ってどうしようっての?」
 戸惑う天馬にはこれっぽっちも気づかず、目の前の男はぎゃははと何か勝手な事を言って笑っている。でも、それも耳に入っていない。
「…………」
「そんじゃ、バイバイ」
 手を振って、門を閉じようとした。
 其処に、ようやく帝月がやって来た。
「どうした?火生」
 最後の単語は、この人の名前だろうか、と思う。
「あ、坊ちゃん。いえね、久しぶりに来ましたよ。ま、坊ちゃんの親戚筋にゃ到底見えませんけどね」
 天馬を一瞥し、火生が言う。
 そしてそんな火生を、帝月は問答無用でその背中を蹴飛ばした。
 何スか?という眼差しは、帝月の冷たいオーラで消えた。
「……僕が呼んだ相手だ。勝手な真似はするな」
 さすがというか、帝月は相手が天馬だとすぐに解った。
 ひぃ、と呻く火生を視界から飛ばし、天馬へと赴く。
「寒い中、立たせたな」
 すまなかった、と言外に言う帝月。いつもはその優しさに照れるけど。
「……別に」
 さりげなく出された手を握る事無く、天馬は家へと入った。
「天馬……?」
 異変があるのはすぐに解った。が、原因は解らない。
 背中を蹴られ、痛てて、と起き上がる火生。だが、今度は胸倉を引っ掴まれる。
「ぐぇ!」
「……あいつに何を言った?一句も漏らさず言え」
 その視線の凶悪さに、火生は一瞬意識さえ飛ばしたという。




「…………」
 ぐるぐると、火生のセリフが頭と胸の中で回っている。
 買ってきた物を台所に置いて、天馬は居間に座っていた。
 今は、帝月の部屋に入る気にはなれない。
「天馬」
 帝月が来た。少し時間が掛かった事を考えると、自室から探したのだろう。
 返事が無い所か、天馬は視線を合わせる事すらしない。
 帝月は、そんな天馬の横に座る。
「火生が色々無礼な事を言ったが、気にしなくていい。お前には関係ない事だ」
(関係ない………)
 帝月は気遣って言ったのだろうけど、その一言で、天馬が堪えていたものが、ぷっつりと切れてしまった。
「………ミッチーに会いに来る人が、一杯居たんだ?あいつがうんざりするくらい」
「………」
 天馬らしくない、詰るような物言いに戸惑ったが、
「昔の事だ。父親も一緒だったから、親と連れ立って来ただけの事だ」
「でも、ミッチーが目当てだったんだろ?」
「……何も無い。相手にもしていなかった」
「だって、そんなの、初めてオレ聞いて、」
「何も無いのをわざわざ言う事ではないと思ったんだ」
「そんなに無かったのを何回も言わなくてもいいって。却って何かあったんじゃ無いかって、思うじゃん」
 自分から言っておいてのこの態度には、さすがに帝月もかちんと来た。
「そういう言い方は無いんじゃないか」
「いいよ。もう。オレには関係なんだろ」
「…………」
 天馬は、自分と会話をする気がさらさら無い。
 それを感じ取った帝月は、無言で立ち上がり、部屋を出た。
 外で控えていたらしい火生に、「天馬の部屋」を用意するように命じていた。
 それを聞いてしまい、少し泣きそうになる。
 今まで、天馬に部屋なんて宛がわれた事は無かった。いつも、帝月の部屋で寝ていた。つい先日、帝月が風邪を引いていた時だって。




 火生に案内された部屋は、きちんと整理させていたが何だか余所余所しかった。
 いつもは忙しなく帝月と喋ったり庭を眺めたりしているのだが、今日は何をするでもなく、ぼんやりと、自分は帝月と喧嘩したのだろうか、と思っている。
 喧嘩なんて一杯している。学校の友達とだって。
 でも、これはそれとは決定的に何かが違うような気がする。はっきり何かとは言いがたいけど。
 そんな風に悶々としていたら、いつの間にか食事時になっていた。
 夕食は、と思った時、丁度火生がメシが出来たから来い、と言いに来た。
 鍋になるはずだった食材は違う料理に姿を変えていて、その食卓に帝月は居なかった。
「…………」
「ぼっちゃんは読み進ませたい書物があるんだとよ。おら、さっさと食えよ」
「うん………」
 少々乱暴に出された茶碗を受け取る。
 火生は、ちょっと気まずい。明らかに目の前の天馬と、自分の主の間が拗れているのは自分の発言に原因があるからだ。
「なぁ、訊いてもいいか?」
「ん?」
 それを打破すべく、また気になっていた事を問う。
「お前さ、坊ちゃんの何?」
「…………」
 何、と言われて天馬は固まってしまった。
 そういえば、自分と帝月は何だろうか。友達では決して無いと思う。
 じゃぁ、恋人なんだろうか。でも、それを自信を持って言い切れるでもない。
「………解んねぇ」
 ごちそうさま、と殆ど食べずに天馬は部屋に戻った。




 そして、夜になった。
 布団に横になっても、天馬は寝れなかった。眠れる訳がなかった。
(ミッチーに謝んなきゃ)
 くすん、と鼻を啜って起き上がる。
 別に、今すぐ謝りに行く訳ではない。帝月は多分寝ているだろうから。
 でも、帝月の顔を見ないと、どうにも落ち着かない。最後に天馬が見た彼は、明らかに怒っていて、とても不機嫌で冷たいものだった。それを思い出す度に、胸がシクシクと痛む。
 ひんやりと足先から伝わる廊下を、音を立てないように注意しながら進む。
 帝月の部屋の前に立ち、襖をそっと鳴らしてみる。
 反応は無い。
 薄く開けて見れば、自分に背中を向けて寝ている帝月が居た。
 中に入り、今まで以上に慎重に近寄る。
 側まで寄って、ぺたん、と腰を降ろした。
 闇と同化しそうな後ろ姿を、そっと見詰める。
「………ごめん」
 相手に届いてはいないだろうけど、言わずにはいられなかった。
「ごめん、ミッチー……ごめん……」
 じわりと溢れてきた涙を拭きながら、何度でも謝った。
「ごめん……ごめ、」
「何度も謝るな。却って何かあったんじゃないかと、疑ってしまう」
 ふいに返った意趣返しな返事は、勿論。
「ミッチー………?」
「泣いてたのか?」
 目をぱちくりさせる天馬。その目の端にそっと指先を滑らす。
「お、お、起きてたのかよ!?」
「当たり前だ。お前とあんな事があったままで寝れる訳が無いだろうが。
 謝ろう、とタイミングを図っている内にこんな時間になってしまったから、もう明日にしようと……」
「…………」
 同じだったんだ……
 そう、安心すると同時にぶわっと涙が零れた。
 夜に眩しいその滴を、帝月は慌てて拭う。
「天馬、………」
 気にするな、と言おうとして、帝月に悪戯な光が宿る。
「ミッチー……ごめんー……っ!」
 ふえーと泣き出す天馬。
 その唇に、ちゅっと何か当たる。
「だったら、」
「えっ……?ちょ、わッ!」
 撫でていた頬から、流れるような仕草で首筋、鎖骨へ。
 そして着物を肌蹴させる。
「ミッ……!あっ!」
「ん………」
 はく、と胸の突起を口に含まれ、ぴくり、と肩が撥ねる。
「はっ……、ふ………」
 跡を着けたり、舌で舐ったり唇で撫でたり。
 気まぐれにしているだろうそれらは、確実に自分を追い立てる。
 そのまま流されそうになり、ふと気づく。
「ミ、ミッチー、火生は?」
「構わん。聴こえはしない」
「で、でもっ……ん!」
 耳を食まれ、言葉に詰る。
「だったら、声を控えろ……」
「きゃ、んっ……!」
 つぃ、と下着の隙間を潜って、指先が潤っていた箇所に潜る。
「あぁッ……!」
「天馬、腰を浮かせろ……」
「ん………」
 ぎゅぅ、と首にしがみ付いて、言う通りにする。
 す、と液を吸い込んで湿っていた下着が下ろされた。
「くぅっ……!」
 中に入り込んだ感触に、唇を噛み締める。
 声を出しちゃいけない。
 そう思うと、余計に出しそうに感じてしまう。
「凄いな……」
 すぐに手首まで伝わった熱い液に、感心したように呟く。セリフが何を意味するかを理解し、赤面する天馬。
 自分を受け入れてからそんなに時間は経っていないせいか、すぐ入り口は開いた。
 くちゅ、と、一本、もう一本と増やし、それはすんなりと中へ入っていく。
「やぁっ……!」
 背中が弓なりに撓る。ひく、と身体の色んな所が痙攣してるみたいだ。
「…………」
 直接は見えないが、天馬の脚の間に消えている自分の手は、確かに中にある。動かす度に天馬が反応を返した。
「ミ、ミッチー……!もう、やぁッ……!」
 弱々しく呟き、ふるふると首を振る。
 一杯に内が広がってるけど、達せるまでの快感は無い。
(やっぱり、まだ怒ってるのかなぁ……)
 涙の溜まったぼんやりする視界で帝月を見る。でも、帝月は優しく、溜まった涙を吸ってくれた。
「んぁっ……!」
 中にあった指が、ず、とゆっくり引き出される。
 そして、労わるようなキスをされた。
「……そのまま、上に来い」
「……ぇ……」
 初めての要求に、一瞬戸惑ったけど、
「ど、どの辺……?」
「もう少し、腰を落とせ……」
「あっ……」
 疼く箇所に、熱くなった帝月が触れた。
 それは、帝月も感じる事で。
「っ、……もう少し、前……」
「んっ………!」
 少し触れ合っている状態で動き、それ自体で感じてしまう。
 帝月の、だから。
「そこで、腰を落として……」
「ふぁ、あっ……ん……!」
 帝月がそう言った場所は、ぴったりで。
 特に力を入れてないのに、そのままずくずくと帝月が入っていってしまう。
「んんっ………!あー………ッ!!」
「-----っ……!」
 ず、と腹に軽い衝撃を覚え、全部帝月が入った事を知った。
 入った感触で軽く達してしまったみたいで、中がヒクヒクと蠢く。
(ぁ………)
 目の前を見れば、帝月が上がった息を詰らせて、精を吐き出してしまうのを堪えているようだった。
「……ふ、」
「…………」
 しっとりと汗ばんむ帝月は、自分が言ってもいいのかとても色っぽくて、艶やかだと思う。
 綺麗な人。
 自分を好きなのだと言う。
 なのに。
「ミッチー……んっ……ごめんな……」
「今日は、謝ってばかりだな、お前は……」
 天馬の腰は細くて、帝月でも支えきれてしまう。
 上下に揺らしながら、気まぐれに目の前に曝け出されている白い肌に口付ける。
「ふぁっ!ぁ、だって……あっ、ん、酷い事言った……ッ!」
「そう、だな……あれは傷ついた」
「ミ、……っひゃぁっ!?」
 つぃ、と指が繋がっている箇所の、少し上にある粒を撫でた。
「あぅっ……!そこ、ダメ……ッ!!」
 余程感じるのか、切なげに眉を寄せて嫌々と首を振る。
 しかし、そんな事をされても誘っているようにしか見えない。
「きゃぅ……!」
「傷ついたが……安心もした」
 上下に揺さぶられて、感覚に翻弄されている天馬に届いているだろうか。
「お前は優しいからな……僕に追い縋ったり、執着したり決してしないだろうと思っていたが……」
「あ……ん、ん……んぁ……!」
 ずちゅ、と結合部が立てる音が、大きくなる。
「あ、ぁ、ダメぇ……ッ!もう、イく……あぁぁっ!」
 絶頂寸前の身体で、胸の先端を吸われ、過敏に反応してしまう。
「……天馬、」
 もっと、僕を欲しがれ。
 指先にまで快楽を叩き込めたいと、奥まで突き立て、激しく責める。
「やっ、……そん、なに……っ、ふぁっ、あ、っあぁぁぁぁぁ------ッ!!」
「----っ!」
 きゅうきゅうと締め付ける内壁に、数秒遅れて帝月も達した。




(おっきな声出しちゃった……)
 今夜は、自分達だけではないと言うのに。
 その事に、今赤面するのは今更だろうか。
(でも、ミッチーが平気って言ったから、大丈夫だよな……)
 こんなに深夜にしたのは初めてで、風呂に入るのは朝にし、汗を拭うだけにした。
 風邪にならないようにと、タオルを代えて何度も天馬の身体を拭く帝月。
「もういいって……」
 頬に当たるタオルの感触がくすぐったい。
 じゃぁ、寝るぞ、と言った後にも、天馬は帝月を見て寝ようとはしない。
「……どうした?」
 言いたい事があるなら、言った方がいい。と、いうか言って欲しいのだと暗に示せば、天馬はおずおずと口に出した。胸に溜まった本音を。
「……オレさ、ミッチーの事が好き。
 だから、ミッチーが幸せになれるんだったら、どんな辛い事でも我慢出来るって、ずっと思ってたんだ」
「…………」
「……でも、ミッチーに会いに来る子が沢山居るって聞いて、目の前が真っ暗っていうか、頭の中真っ白になってさ、その中にミッチーが好きになる子がいたら、どうしようって。
 ダメだよな、こんなんじゃ。もっとちゃんとしなくちゃ」
「そんな事を言ってたら、お前はずっとだらしないままになるが?」
 そのセリフに、ぱちくり、と目を瞬かす天馬。
「僕はお前以外に好意を寄せる気はない。さらさらな。
 ましてやこういう事を、したいなどと決して思わん」
 こういう事、というくだりで首筋に着けた痕をつぃ、となぞる。天馬はさっきまでの事を思い出し、かぁっと赤くなる。
「そんなに僕は信用が無いか?」
 ちょっと意地悪して聞いてみる。
 案の定、天馬は面白くなるくらい首を横に振る。
「んな事無い!……でも、ミッチー人気者みたいだし……」
「誰が人気者だ」
「だって、家に押しかけて来るんだろ?」
「皆、僕など見ていない。家柄だけが欲しいだけなんだ」
 帝月はそう断言してるけど、天馬はそうは思わない。
 帝月の顔は、とても美しく整っている。天馬は、帝月に会うまでこんなに綺麗な人をテレビの中ですら見た事が無かった。
 だから、最初は帝月の言う通りに家柄目当てでも、会った途端に執着の対象は本人に変わっても、何も不思議ではない。むしろ自然なくらいだ。
(……まだ、こんな事思っちゃってる……)
 天馬は軽く自己嫌悪。そうなった途端、帝月が顔を伺うような仕草を見せるので、胸がぎゅっとなってしまう。
 些細な変化に気づいてくれる。自分の張る虚勢は、両親だって騙せたのに。
「……な、ミッチー」
 恐る恐る帝月に言う。
「オレって、だめなままでいい?」
「……?」
「いきなりさ、何度でも『オレの事好き?』とか、訊いちゃってもいい……?」
「……たまに、じゃなくて結構頻繁に、お前は莫迦だな」
「、な」
「いいに決まってるだろ。莫迦」
 そう言ってされたキスは、とても甘かった。




 抱き締められて安心するなんて、赤ん坊みたいだけど、帝月の腕や身体に包まれていると思うと、どうしようもなく暖かい幸福を感じる。それは、緩やかに睡魔を誘う。
 深夜でもある事で、それに抗う事は天馬はしなかった。
 とろとろと眠りに落ちる天馬に、帝月の呟きが聴こえた。
「……だいたい、お前も似たようなものだろう……」
 変なミッチー。オレ、別にモテてる訳じゃないのに。
 そう思いながら、天馬は寝に入ったが、実は全くそうではない。
 それは天馬に自覚がまるでないのともう1つ。
 帝月が、徹底的に叩き潰しているからである。




 さて、朝だ。
 やっぱり昨夜謝って正解だったと思う。朝は、こんな風に気持ちよく迎えたい。
 今日の天馬は少し寝坊してしまった。まぁ、当然と言えば当然だが。
 廊下を歩いていたら、火生と出会う。
「あ、火生、オハヨー」
「お、おう……」
 何だか歯切れの悪い返事に、何だろう、と天馬は訝る。
 その表情を見て、火生は。
(……マジで俺が聴こえてなかったと思ってんな……)
 「その時」の火生は隣の部屋に居た。
 日本家屋であるこの家の、部屋と部屋の区切りは襖だ。防音などされている筈も無い。
 全部、息遣いまでばっちり聴こえて、火生は眠れぬ夜を過ごしたのだ。
 しかも、その部屋に居ろと命じたのは他ならぬ帝月で。
 どうも、帝月は自分が思ってたよりも、天馬の扱いに対してご立腹だったみたいだ。
「どうかしたか?顔が変だぞ?」
 調子が悪そうだと言いたいのだろうが、その表現はどうだか。
 いや、それより。
 目の前の、このまだ子供が、昨夜にあんな艶っぽい嬌声を上げて、もうだめだのイクだのと……
「…………ッツ!」
「わ、何だ何だよ!?」
 急に座り込んだ火生に慌てる。
「い、いや、ちょっと腹が……」
「え、わ、大丈夫かそれ!?トイレ行った方がいいんじゃねぇ?」
「うん、そーする……」
 そのまま、前かがみになって歩く火生。途中、帝月とすれ違う。
「……昨夜だけだ」
 ぼそ、と呟かれた声は、地から湧き出たようで。
 つまり、意味する事は今後聴こうものなら。
「…………」
 赤くなったり青くなったりと、忙しい火生であった。




<END>





今後から2人のいちゃつきの被害に遭う火生が予想され。
でもこれで第三者からの視点が書けるわさ〜

てか初日で3回しちゃってますね。
……若いなぁ。