高校に上がる事。
それは、世界が広がるという事で。
「や、や……やぁ……っ!」
むずがる子供みたいに、嫌だと首を振る。それだけの動作で、体内にある帝月と、粘膜が擦れる淫らな水音がする。
何度も何度も達したせいで、中から滲む分泌液が僅かな隙間から滴り、天馬の下半身を濡らしていた。
「ミッチ……だめ、もう、だ……め………んぁ……!」
きゅ、と胸の突起を摘まれ、じぃんと身体の奥が痺れる。
今日の帝月は、何だか、変だ。
いつもは、いっそ気恥ずかしくなるくらいに、大事に大事にゆっくりと身体を慣らしてくれるのに。
「きゃあ、ン!!」
くい、と片足を担がれ、さらに奥へと自身を埋め込む帝月。
今まで入った事のない領域を犯され、初めての時のような恐怖に似た感情が起こる。
「あ、ぁん……いや、無茶……んっ………すんな、……ぁあ!」
「無茶、じゃないだろう……?」
カリ、と歯を耳に立てて弄ぶ。
「中……絡み付いて……よく、締まる……
本当は、悦んでるんだろう……?」
「ち、が……ふぁ、ん……」
ちゅ、と唇を重ね、舌を絡ませる。
上からも下からも、帝月が入ってきて、天馬の意識がいよいよおぼろげに、虚ろになって。
もう、帝月に任せるしかなかった。
----日明さんて、いいよな
----日明……あぁ、てっちんの事か。んで、何がいいって?
----いいじゃん。ああいう子。最近の女って怖くってさ。男をキープだのゲットだの……でも、日明さんはそんな事しなさそうだしさ。きっと誰かと付き合った事も、キスもした事ないぜ。そういう子を自分色に染めるって、なんかヨクねぇ?
「は、ぁ……あっん!あ、あー……!」
嬌声に切羽詰ったものが感じ取れて、身体の撥ねる間隔も短くなってきた。
もうすぐ……だ。
その時の表情を思い出して、無意識に唇を舐める仕草をする帝月。
「や、ぁ、っ!またぁ……あぁん!」
今日、何度目か解らない、迎える絶頂の予感に戦く。
「天馬………」
眼を綴じたままの天馬に、顔を寄せる。
「お前、今、……すごくいい表情してるぞ……」
「ばッ!ばかぁ……!!」
顔を横に背ければ、耳を詰られ、ゾクゾクしてしまう。
何だか、さっきから羞恥を煽るような事ばかり言われている。それで何が困るかというと、身体が忠実に反応してしまうという事だ。
(やだ……これじゃ、オレ、変態じゃん……)
ひく、と喉を引き攣らせ、流れた涙は快楽の為のものでなかった。
それを詰まらなそうに、帝月は舐め取る。
もっと自分に酔ってしまえばいいのに。
他のヤツにも解るくらい。
「ん、ん………!ッ、ひ、やぁ!?」
腰に回っていた帝月の腕が、つ、と結合部をなぞった。
「なっ、あ………あぁぁぁんッ!!」
そのすぐ上の粒を転がされ、一層甲高い声が天馬から沸き上がる。
----そうだ、この声が聞きたかったんだ。
「んぁ……!だ、だめぇ!みか……!!そこっ、!」
もう懇願に近い声色で言ってみたが、帝月がいう事を聞いてくれなさそうなのは、わざわざ様子を伺えなくても解った。
「だめッ!いや、やぁぁぁぁッ!!」
----もう、おかしくなる。
そんな、言われてないセリフが、帝月に届いた。
でも、止める気はさらさら無かった。
「ひ、ん!あ---------ッ………!!」
「………っ、」
一度に複数過敏な箇所を弄ったせいか、声を抑える事も出来ず。
空気に余韻を響かす大きな声を残して、天馬は達した。
全く、勝手な事を言ってくれる。
クラスで、勝手に耳に飛び込んだ会話。帝月のクラスは天馬とは違う。にも関わらず、話題に上っていた。それだけでも、頭に来るというのに、内容である。
聞いた途端、沸き起こった感情のままに相手を葬ってやろうかとも思った。さすがに、しなかったが。
天馬に会えば、こんな気持ち、すぐに浮上すると思った。
のに。
クラスメイトにあんな言い方されてるのに全く気づかないで、いつもの、帝月の知ってる天馬だという事に----どうしてか、無償に腹が立った。
誰かと付き合った事も、キスをした事もない?笑わせてくれる。
天馬とはもう4年になる付き合いで、キスどころか、何度も快楽の絶頂に陥っているのだから。
何度でも、自分が与える感覚で。
何度でも。
何度でも----
「ミッチーの、馬鹿!あほ!すけべ!!」
「……すまない。本当に、すまない」
「………馬鹿ー!!!」
一通り罵り言葉を口にして、ある程度すっきりした天馬は、少し余裕が出来た。
「な。何か、あったのか?」
「………何か、と言うか………」
頬を紅潮させ、気まずそうに帝月はクラスメイトの話を聞いた経緯から話した。
で、話終わって。天馬は。
「……ずりぃ」
ぽつ、と零されたのは、そんな言葉で。
「……は?」
まさかそんな返事が出てくるとは思わなかった帝月は、間の抜けた返事をしてしまう。
「ずりぃずりぃよミッチーてば!!オレだって、オレのクラスだって、女子がミッチーの事格好いいって、いっつも言ってるのに!」
本当に少しは怒っているらしく、む、と眉を眉間に寄せて頬を膨らます。
「ミッチーばっかり自分に正直で!」
自分は我慢しているのに、と言う。
「………なら」
つい先ほどまでのどん底だった気持ちは何処へやら。
相手も同じだった事とも手伝って、帝月は見た目では解り難いが、とても舞い上がっている。
「お前も、自分に正直になればいい」
「え………」
天馬は全裸で、帝月はズボンだけ穿いた半裸で。
そして、さっきまでしていた事を考えると、帝月のセリフは。
「……………!!!!」
ぼひゅ、と肩まで真っ赤になる天馬。
「ななななな、何言ってんだよ!!オレは!怒ってんだぞ!?」
真っ赤に慌てる天馬を、帝月は何の苦も無く組み伏せる。
「わっ………!」
「……さっきので終わるのは、嫌なんだ」
耳に直接吹き込まれた声。
ゾク、としたのはさっきのと一緒だけど。
「…………………」
だめか?と帝月が雰囲気で語っている。天馬も、それには言葉では答えずに、そっと背中に手を回した。
「あのな、ミッチー。オレ、ミッチーの事大好きだから、酷い事されても嫌いにならないから。
だから、ちゃんと言ってくれな?」
情事後、天馬が言ったセリフに、帝月は撃沈したという。
<END>
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