クリスタル・オブ・アイズ





 子供じゃないと反論したら、そういう所が子供だよ、と余裕で切り替えされた。
 悔しくて、何を言えば相手にとって大打撃か、考えている最中に言われた。
「だから、僕が大人にしてあげるねv」




 で。
 あっという間に雹の家のベットの上。
「????」
 ベットの上にちょこんと乗って、ひたすらハテナマークを撒き散らす爆。
 爆にとって、大人にしてあげるねという発言と、家の寝室に招かれる関連性が解らないのだ。
 友人達に、もうちょっとその手の知識があって爆に伝えられていたのなら、今この瞬間、爆は雹を蹴飛ばして逃げていただろうに。
 雹は、きょとんとしている爆を愛おしそうに見詰める。雹もまたベットに乗って、爆に寄る。
「ふふふ」
 何やら怪しげな笑みを浮かべ、顔を近づける雹。さすがに爆が何か変だなと思い始めるが、時すでに遅し。
「、ん」
 キス、された。




 爆のそんなに長くない人生では、キスという行為は口と口をくっ付けるものだと思っていた。
 のに。
 これは、どうだろう。
 る、と口に何かが入ってきて、それが口の中を味わうみたいに這う。
 それが雹の舌なのだ、と解った時に、止まっていた感覚が戻る。
「ん、んぅ……!ん、く」
 苦しくて服を引っ張ると、鼻で息しなよ、とアドバイスが聴こえた。
 そんな事は解っている。けど、身体が動かない。
 息が出来なくて、苦しくて。
 でもこのまま死んでしまう、とかいう恐怖はなかった。
 触れる手や唇が、とても温かいからだろうか。
 思うように息が出来ない爆を気遣ってか、雹は大分物足りない所で口を離した。もっとも、すればする程足りなくなるんだろうけど。
 離れる時、悪戯に舌で唇をなぞると、小さい体躯がふるりと震えた。
 感度は上々だね、と満足そうに微笑む。
 ふ、と爆は溜息を吐いた。まだキスされてるみたいで、落ち着かない。唇も、口の中も。
 頭はぼんやりしていて要領を得ない。
 今、雹に横にされたが、爆にとっては他人事のようだ。
「……可愛い」
 クス、と揶揄するように雹が言った。
 何の事かと、雹に意識を向けると。
「あ………」
 自分の今の状況が、ようやっと自覚出来た。
 服はすっかり脱がされて、日に焼けない白い胸が、何も隠す事無く晒されていた。
 可愛い、といわれた意味も解り、顔が真っ赤になる。
「や……!」
「だめ」
 隠そうと腕を上げると、雹に捕まれる。
「や、だ………、ひゃぁっ!?」
 ちゅぅ、と胸の間に僅かに湿った感覚。さらり、と首元に感じるのは、雹の髪だ。
「や、ん、……な、ぅ……!!」
 ちゅ、ちゅ、とキスを落とす度にぴくぴくと可愛らしい反応を返す。
「本当、小さいね」
 ふに、と触ると柔らかいが、それを乳房と呼ぶには足らないように思える。
「だま、れぇ………!!」
 悔しいのかなんなのか、とにかく抗議したくなった。
 胸が小さいなんて、とっくに自覚済だ。ピンクにしても、ルーシーにしても、はち切れんばかりだというのに、自分はどうだろうか。厚手の服を着たら、肉体で性別を判断できなくなるだろう。
 自分の夢にはそれは関係ない、と割り切っても捨てきれないのが人情だ。
 そんな爆を、雹はよしよしと宥める。
「ま、これからどんどん大っきくなるよ」
 なんで、と爆が疑問を口にするのは適わなかった。
 胸を下から持ち上げるように手を添えられ、上を向いた突起を雹が食む。
「ふぁ……あ、ん!」
 途端ぞくん、と今まで感じた事のない感覚が襲う。
「あ、あ……!」
「気持ちいい?」
「知らな……て、何処、に……!!」
 雹の手は下に下に下がって、他人には晒さない箇所に向かっていた。
「やめろ!馬鹿!」
 何のつもりだ、と足をばたつかせたいが、押さえ込まれてままならない。
 ともすれば美少女にも見える雹だけど、やっぱり男の子なのだ。
「や、だ、イヤだ……!」
 ヒク、と喉が引きつり、虚勢がはがれて未知の恐怖に震える爆が居た。
 眼に涙を一杯溜めて、戦慄かせている唇に、触れるだけのキス。
 何度も何度もして、不安と震えを取る。
「大丈夫。これは、好きだからする事だからね」
 怖がったり、不安になる事は少しもないんだよ、と優しく諭す。
 行為の具体的な内容は知らないけど、意味が解らない訳ではない。
 でもやっぱり恥ずかしくて。
「待っ………」
「だめ」
 待って欲しいという願いは、最後まで言う事なく却下された。あまりに身勝手な申し出に、文句が出るのも忘れる。
「僕は今日までずっと待ったんだよ?もう、待てないよ」
「そん、なぁ……!!」
 勝手な事を言った口で、さっきのように爆の身体を翻弄する。
(あ……)
 もう、雹の手を止められない。
 する、と最後の一枚が剥がされる。
「ドキドキしてるね」
 左胸を愛撫している雹が言う。
「もっとドキドキしようねv」
 そんな風に無邪気に言う。
 数度、入り口を撫でて、くちゅり、と襞を分けて、指が侵入した。
「いっ------たい!痛い痛い!!やだ!やめろ!!」
「痛いの?指一本だよ?」
「痛い………!」
 じわ、と浮かんだ涙は、どうみても快楽からとは思えなかった。
 仕方なく、一旦引く事にした。ほ、と痛みから解放させて胸を撫で下ろす爆。
「うーん、でもこれが痛いとなると……」
 深く考え込む雹に、爆も何だか不安になる。
 それに気づいた雹は、何でもないように笑いかける。
「まぁ、他に方法が無い事もないからね」
「?」
 また、ハテナマークが浮かぶ爆だった。




 ちゅ、と。
 太腿にキスされた。
 それをちゃんと自覚する前に。
「ひゃぁッ!?」
 敏感な箇所に、れる、と探るような湿った感覚。
 さっきキスされた箇所を考えると、それは、どう思ってみても。
 雹の。
「ひっ、や、あぁぁぁ!!」
 下にある雹の頭を退ける為に押さえる。
 くちゅ、と舌が中にまで侵入して、一気に力が抜けた。
「ふぁ……あ、あっ、んン!」
 甘ったるい声。
 自分が出しているのが、信じられない。
 身体も変で。
 じんわり何かが広がってるけど、それが何か解らない。
「ぅ、あ……あ……っ!」
 それは足の方から広がって、頭まで着いた途端、何かがぱあっと弾けた。
 身体の中が解けてるような感覚。
 ふと気づけば、雹が自分を見下ろしていた。
「イッちゃった?」
「…………」
「だよね、凄く濡れてたよ」
 雹の細い指は濡れていて、指の間を透明な糸で繋いでいた。それを、ぺろりと赤い舌で拭う。
 雹の唇も濡れていて、赤い色が濃く見えた。それを見て、背中がぞくっとした。
 寒気じゃなくて、むしろ熱いもの。
 身体を溶かすみたいな。
「なーに、欲しそうな顔してるの?」
「や、」
 つぃ、と首筋をなぞられ、ビク!と身体が震えた。
 達したばかりで、どこもかしこもが敏感だ。
「いっぱい、あげるよv」
「ん…………」
 また、舌を差し込まれるキスをされた。




 気づけば、朝だった。
「……………」
 ぽんやりとした頭で暫くそのままにしていると、雹がノックをしないで入ってきた。
「おはよ。目覚める頃だと思ってたよ」
「ひょ………」
 呼ぼうとした声はびっくりする程掠れていた。身体も、なんだかだるい。
 風邪でも引いただろうか。
 シリアルやジュース。果物を乗せたトレイをベッド際に置いて、雹は爆の額に自分のを重ねた。
「うん、熱は無いね。初めてだったから、ちょっと心配だったんだよ」
 そのセリフで、爆の眼の焦点が合い、顔が真っ赤になった。
「っ………っっ………!!」
「あー、思い出した?」
 と、言う雹の顔は幸せそうで。
 爆は毒気を抜かれてしまい、怒れなくなった。
 何だかんだで、結局好きなのだ。この我侭男が。
「……待てって言ったのに」
 それでも一言言わないと気が済まなくて、実際思っていた事を口にする。
「僕だって、タイミング図ってたっんだってば。気持ちよかったでしょ?」
「……知らん!」
 そう怒鳴って、シーツをがばりと被った。
 そんな爆に、雹の暢気な声が降る。
「まぁ、あれくらいなら、次は本番いけるかもねv」
「……本番?」
 ひょこ、とちょっと出した顔にキス。
「うん。あんなのまだ序の口だよ」
「序の………」
 絶句する爆。あんなに、精一杯だったのに。
「だってそもそも入れてもないしね」
「入れる、って………?」
 何も解らない爆。
 雹ににっこり笑うと。
「心配しなくても、ちゃんと色々教えてあげるからね。
 ……僕が、ちゃんとね」
 そうしてまた深いキスをする。
 こんな事は恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ないけど、こんな風に身体の中まで相手を感じられるのは結構いいかな、と。
 至近距離の雹を見て、そんな事を思う。




<END>




 

甘い!!!!
や、最後までちゃんとさせようと思ったけど。
最初だし、気持ちよくないだろうから気持ち良いところまででちょっと終了、て事で。
雹様は気持ちよくさせたい訳です。
この辺、征服欲じゃなくて、愛、ですな。