携帯電話が鳴っている。この曲は激のだ。 相手別に着メロが変わる機能、爆は呼び出し音はどうでもいいのだが、激が勝手に自分の番号をセットした。 ちなみに曲はミスチルの「君が好き」である。 「どうした?」 「…………」 沈黙。 「……激?」 「………腹が………」 その声ははっきりと解るくらい衰弱していた。爆は慌てて呼びかける。 「激!?どうした!腹が痛いのか?!」 「爆ぅ〜〜……」
「腹減ったよ〜」
「………全く貴様ときたら、死にそうな声で何かと思えば腹減った!? 孫悟空か!!お前は!!」 「爆のメシんま〜いvvおかわりー」 「人の話を聞け!!」 憤慨する爆だったが、別に激は話をはぐらかしている訳でもない。 お世辞を抜いて、本気で爆の作った料理は美味いのだ。しかも、腹減ったと喚く元気も無い激の為、早さ重視の物でこの味だ。本腰入れて作ったら、かなりのものだろう。 うむうむ、俺の将来の食生活はいいものになりそうだvv 「……何を一人で笑って一人で頷いているか」 「いやぁ、未来は明るいね、て☆」 キラリ☆と決めてみせた激だが、食べかすが口の端についているのが何とも見っとも無い。 「だいたい、こんなに食うに困る状況だったら、先週オレと、デ………出かけなければ良かったんだ」 ”デート”という単語を使うのが恥ずかしかったのか、少し間を空けて爆は言い直した。 「チッチッチ。例え見栄でも好きな子にゃかっこつけて見せる!それが男だ!!」 「……今現在恥を晒していたら何もなら無いと思うが」 箸を握ったままの拳でグググ、と熱く語る激を見る、爆の双眸は冷ややかだ。 「いやな、別に無計画な訳じゃねーんだよ。 何事も無けりゃ今週頭に仕送りが来るはずだったんだ。が!! あのオヤジ!「今月はちょい赤字だから、ナシでよろしく」とか抜かしやがってぇぇ〜〜!!」 腹が膨れた激は今度は腹が立ってきたらしい。 「だったらその場で連絡くれればいいのに。2日間でも何も食わんのはキツいだろ」 「やー、それはちょっと……いきなり頼ったんじゃダサいかな、と」 あはははは、と空笑いをする激だ。 「……全く……本当にこのまま死ぬかと思ったんだからな」 少々口調をキツくして、顔を見られたくないとでもいうように背けた。 「………あ。もしかして、心配させた?」 ごめんね、と調子は軽く。でも雰囲気は甘く。 すっかり機嫌を斜めにしてしまった隣の爆を、やんわりと腕で絡めるように抱き留めた。ついでに、自分の膝の上へと移動させた。 苦しくならない程度に顔を自分へと向け、そこら中に口付ける。 それが、単なるスキンシップでない事に、爆は気づいた。 「っ……、激……」 「なー、爆ぅー」 嫌になるほど甘ったるい声で激が囁く。 「俺、デザート食いたいなvv」 「なら……オレンジ買って来たから……」 「じゃなくって」 何をやらさせても器用な激の手は、爆が止める間もなく上の服をするんを脱がしていた。 「爆を、食べたいの♪」 「ひぁ………んぅっ!」 薄い生地の上から胸の突起を撫でられ、跳ね上がった声を必死で堪えた。 「ふ、や……やぁ……」 「爆ってさ、果物みてぇ」 上半身を隠していた最後の一枚が剥ぎ取られる。外気に晒され、刺激で色を濃くした突起が震えるのが見て取れる。 「噛んだら、おいしそー……」 「やッ……ん、んン!」 誘われるように口に含み、じれったい程舌で遊ばれたかと思うと強く噛まれる。 痛みで一瞬身が竦むが、じっくりとその跡を嘗め回され、じんじんとした痺れが下半身まで襲う。 それを悟ってか、激の手が下着の中へと侵入する。 胸への愛撫だけで翻弄されていた爆は、それに気づくのに一瞬遅れる。 「だ、だめッ!そこは!」 一瞬だけの遅れでも、激の指が最も敏感な箇所を撫でるのには十分な時間だった。 自分では決して見れない、けれど確実に快楽を齎す其処を、激が的確に責める。 「ひぁッ!やぁッ!あんン!」 「あ……溢れてきたv」 「馬鹿ッ……あぁぁぁッ!」 爆から溢れた蜜で、入り口を十分に濡らし、小指を中へと埋め込む。残りの指は臀部で回り、そこでも刺激を与える。そうでもしないと、爆の内は中々緩んではくれないのだ。 激が様々な箇所を愛撫するのは、偏に爆の身体を気遣っての事だが(まぁ、自分が愉しむ為も多大にあるが)爆の方にしてみれば堪ったものではない。 出来上がる途中の身体に、とてつもなく淫らな感覚を与えられて、この先この身体はどうなってしまうのだろうか、といつも不安を抱える。 特に、体内に異物の入る感覚には未だ慣れない。激はその内気持ちよくなるから、というが現時点ではどうしてもそうだとは思えない。 「い……っつ、激……!」 胸への刺激は気持ちよいが、内にある指が気になって先程のようにはならない。 「痛ぇ?」 「……、たくないけど………なりそう……ッ!」 「うーん、小指なんだけどなぁ……」 包む粘膜はしとどに密を溢れさせて準備万端のようだが、やはり精神とのバランスだろうか? 今日ぐらいはもう一本平気なようにして、最終目標へのステップアップを図りたい所だったけども。 (果物って、待てば待つ程甘くなるモンだし?) 何より爆が嫌がっていては何もならない。 「ぅ、く……ッ!」 小指とは言え、根元まで入っていたのでは結構奥まで届いていた。 喉を鳴らし、引き出される感覚を堪える。 「ま。じっくりやろうな」 「……?」 何の事か見当もつかない爆は、涙で濡れた目をぱちくりさせるばかりだ。 「じゃ、イこうか」 何だか稽古でもつけてるみたいな口調で激は言った。 「え、……って、ちょっと!!」 大事そうに横たわらせる。 それまではいいが、足の間に激が割って入ったのは。 「安心しな。まだ挿れねぇよ。 ……爆は、舐められるの、好きだろ?」 にぃ、と浮かべられた笑みに、爆はどこまでも嫌な予感を感じた。 下着まで全部取っ払った足の間に身を屈め、舌の先がつう、となぞったのに、爆の肢体がびくんとしなる。 「激ッ……!ん、あぁぁッ!あうッ!」 指が入っていた分だけ開いた其処は、激の舌をすんなり受け入れた。 「ひん!ふぁ……あう、あッ、あぁッ!」 舐められる箇所と、濡れた音を聞き入れる聴覚。羞恥すらも手伝って爆の快楽は限界まで膨らんでいく。 「あぅっ……あ--------ッ……!」 何度も間断的に撥ねる華奢な体躯。それに合わせ、内壁が伸縮を繰り返した。 「……ご馳走様v」 溢れた蜜を全部舐め取って激は満足そうに、爆の額へキスをした。 「……………」 数滴、睫に堪っていた涙が零れ落ちる。 荒くつく呼吸が少し落ち着いた時、爆は、 「……貴様なんか……飢えて死ねッ!」 せめてもの虚勢だった。が。 「いやー、本懐成し遂げるまではねー。 ていうか。 ……俺がまだ飢えてる、って、よく解ったな。爆」 「…………!!!」 激のその台詞と浮かべた笑みに、爆の顔がざ、と青ざめる。 「だったら付き合えよ。腹いっぱいになるまでなv」 「え、ちょ、………!!」 激の腕の中だった爆に……逃げ場は、無かった。(合掌)
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